咲 -Saki- 阿知賀編 episode of side-A
咲 -Saki- 阿知賀編 episode of side-A 6話 『奪回』 感想

己を貫くことの“意志”と“意志”の攻防戦。
貴方のために。みんなのために。ただひたすらに勝利を求めて。
「お姉ちゃんに手を出さないように...!」
そんなアバンでの立ち位置が逆転する「姉」としての宥の姿には最早、燃えるなというのが無理な話で、なびくマフラーと点棒に託す想いの強さがもう絶妙にマッチして格好良くて堪らなく、「リーチ...!」の一言が力強く胸に響くと言いますか。
いや、もうね。私にとっての咲の好きなところってまさにそこで、ちょっとした描写とか、ちょっとした間が「それまでの軌跡」を見事に描き出すわけなんですよ。もちろん、阿知賀編は本編に比べると、その軌跡の描写が余りにも少ないっていうのは確かにあるわけなんですが、それでも確実に想いの源泉は描き出していて、今回で言えばそれこそアバンでの描写とか、前回の終盤の1シーンとか。
彼女が点棒を手に取り、場に出して、立直を宣言するまでの流れの中にその全てが込められていて、その瞬間に泣きじゃくる玄と、そんな彼女を抱きしめる宥の頼もしさがフラッシュバックするんです。負けられない。負けたくない。絶対に取り返す。そんな意志の強さがこれでもかというぐらいに溢れ出る。

で、そんな中、この対局に凄さを感じるところというのはやはり、宥の“打ち方の変化”に他ならないわけで、そこがまた玄との対比として描かれる。
自分の打ち方を貫けば混一色だって、清一色だって十二分に狙えるわけなのだけれど、そんな特殊能力を見抜かれ苦戦する状況下で、「じゃあどうすればいいの?」と彼女は一人考える。それはただ単に追い詰められた挙句の悪あがきでは決してなくて、彼女はとにかく負けたくないんですよ。みんなとやっと辿り着いた全国の舞台と、そんな場所で立派に戦いながらも悔し涙を流した妹のために自分はどうするべきなのか。
今まで打ってきた数々の対局と、今まで潜り抜けてきた多くの局面で、自分はどうやって「自分の麻雀」を貫いてきたのかという、その経験値がここで爆発する。

ただそれは、もちろん相手も同じであって、ようは麻雀ってその卓を囲む4人全員が自分の麻雀を貫くことで勝利を目指そうと、最大限の知恵と努力を振り絞るため奮起するんですよね。
3900を3回刻むのも、12000で一発大きくアガるのも、それはその戦況に応じた自分らしさを貫いた結果に付いてくる点数なわけで、だからこそのその鬩ぎ合いって何よりも熱いし、何よりも格好良い。
そして、その姿は“何のために?”という問いにすらも答えてくれる想いの塊でもあるわけで、そのバックボーンには必ずや「仲間と共に」の想いがしっかりと根付いているんです。

またその辺りは、対局と対局の間にある待ち時間を必ず映し出すという、この作品の在り方が一番大切にしている部分でもあると思っていて、そこを描き出すことによって“この舞台はただ一人のために用意されたものじゃないんだ”ってことを強く強調していたりする。
それは、中盤で描かれた地元で応援する憧の同級生の存在にしても同じことだったりして、そんな想いの連鎖と繋がりをこの作品は本当に大切にしながら温めているんです。
故にだからこそ、生きる。点数に対する憧の執念が、そういった数々の背景と“仲間”という存在にリンクして、強烈に「負けられない」理由を生み出す。その過程の描き方が咲‐saki‐はもう抜群に巧い!

また、その点で言えばこの〆の場面。周囲の期待を一身に受け灼が顔を引き締めるまでの数秒の間と、それから力強く踏み出される舞台への第一歩には、もうたくさんの想いが満ち溢れていて。
彼女がここで戦う理由。彼女がこの場所に居る理由。彼女が何を目標に、何を糧としてここまで辿り着くことができたのか。彼女の胸中に渦巻く闘志の源泉とは...
そういった、たくさんの灼という存在を確立させる理由と想いの数々がこの1シーンで一気に弾け出すんです。もうそれは完璧なまでのEDへの突入の仕方との相乗効果とも相まって目が潤んでしまうぐらいには力強さに満ちていて、故に「あぁ、もう頑張れ灼ッ!」って。そんな風に思わずにはいられない熱さがどうしたって込み上げてきてしまうんです。

ただ、そんな舞台裏とはまた違うもう一つの舞台裏でもまた、一つの仲間の在り方を描いているのがこの作品の素晴らしさだとも思いつつ、それでも勝ち上がれるのはただ一人だけというこの麻雀という協議の仕組みには何とも言い難いジレンマを感じずにはいられないわけで。
まぁこの初戦に関しては上位二校が上へ進めるわけなのだけれど、これから先は否が応にも誰かが敗北を喫する場面があると思うと、やっぱり辛いなぁ...とはどうしても感じてしまう部分ではありますね。(特に千里山とか千里山とか千里山とか...
ただ、それも咲‐saki‐という作品を視聴するに当たっての醍醐味でもありますので、その辺りも含めてこれからの全国編sideAを存分に楽しんでいければなと思います。どの高校が勝ち上がるにしても、破れるにしても、本編決勝戦のようなどこの高校も悔いが残らない清々しい結末を期待したいですね。
それはもう、四暗刻単騎を捨て、自分の麻雀と勝利に徹した池田のように気持ちの良い麻雀を見せてもらいたいものです。
次回 「信念」
そんなアバンでの立ち位置が逆転する「姉」としての宥の姿には最早、燃えるなというのが無理な話で、なびくマフラーと点棒に託す想いの強さがもう絶妙にマッチして格好良くて堪らなく、「リーチ...!」の一言が力強く胸に響くと言いますか。
いや、もうね。私にとっての咲の好きなところってまさにそこで、ちょっとした描写とか、ちょっとした間が「それまでの軌跡」を見事に描き出すわけなんですよ。もちろん、阿知賀編は本編に比べると、その軌跡の描写が余りにも少ないっていうのは確かにあるわけなんですが、それでも確実に想いの源泉は描き出していて、今回で言えばそれこそアバンでの描写とか、前回の終盤の1シーンとか。
彼女が点棒を手に取り、場に出して、立直を宣言するまでの流れの中にその全てが込められていて、その瞬間に泣きじゃくる玄と、そんな彼女を抱きしめる宥の頼もしさがフラッシュバックするんです。負けられない。負けたくない。絶対に取り返す。そんな意志の強さがこれでもかというぐらいに溢れ出る。

で、そんな中、この対局に凄さを感じるところというのはやはり、宥の“打ち方の変化”に他ならないわけで、そこがまた玄との対比として描かれる。
自分の打ち方を貫けば混一色だって、清一色だって十二分に狙えるわけなのだけれど、そんな特殊能力を見抜かれ苦戦する状況下で、「じゃあどうすればいいの?」と彼女は一人考える。それはただ単に追い詰められた挙句の悪あがきでは決してなくて、彼女はとにかく負けたくないんですよ。みんなとやっと辿り着いた全国の舞台と、そんな場所で立派に戦いながらも悔し涙を流した妹のために自分はどうするべきなのか。
今まで打ってきた数々の対局と、今まで潜り抜けてきた多くの局面で、自分はどうやって「自分の麻雀」を貫いてきたのかという、その経験値がここで爆発する。

ただそれは、もちろん相手も同じであって、ようは麻雀ってその卓を囲む4人全員が自分の麻雀を貫くことで勝利を目指そうと、最大限の知恵と努力を振り絞るため奮起するんですよね。
3900を3回刻むのも、12000で一発大きくアガるのも、それはその戦況に応じた自分らしさを貫いた結果に付いてくる点数なわけで、だからこそのその鬩ぎ合いって何よりも熱いし、何よりも格好良い。
そして、その姿は“何のために?”という問いにすらも答えてくれる想いの塊でもあるわけで、そのバックボーンには必ずや「仲間と共に」の想いがしっかりと根付いているんです。

またその辺りは、対局と対局の間にある待ち時間を必ず映し出すという、この作品の在り方が一番大切にしている部分でもあると思っていて、そこを描き出すことによって“この舞台はただ一人のために用意されたものじゃないんだ”ってことを強く強調していたりする。
それは、中盤で描かれた地元で応援する憧の同級生の存在にしても同じことだったりして、そんな想いの連鎖と繋がりをこの作品は本当に大切にしながら温めているんです。
故にだからこそ、生きる。点数に対する憧の執念が、そういった数々の背景と“仲間”という存在にリンクして、強烈に「負けられない」理由を生み出す。その過程の描き方が咲‐saki‐はもう抜群に巧い!

また、その点で言えばこの〆の場面。周囲の期待を一身に受け灼が顔を引き締めるまでの数秒の間と、それから力強く踏み出される舞台への第一歩には、もうたくさんの想いが満ち溢れていて。
彼女がここで戦う理由。彼女がこの場所に居る理由。彼女が何を目標に、何を糧としてここまで辿り着くことができたのか。彼女の胸中に渦巻く闘志の源泉とは...
そういった、たくさんの灼という存在を確立させる理由と想いの数々がこの1シーンで一気に弾け出すんです。もうそれは完璧なまでのEDへの突入の仕方との相乗効果とも相まって目が潤んでしまうぐらいには力強さに満ちていて、故に「あぁ、もう頑張れ灼ッ!」って。そんな風に思わずにはいられない熱さがどうしたって込み上げてきてしまうんです。

ただ、そんな舞台裏とはまた違うもう一つの舞台裏でもまた、一つの仲間の在り方を描いているのがこの作品の素晴らしさだとも思いつつ、それでも勝ち上がれるのはただ一人だけというこの麻雀という協議の仕組みには何とも言い難いジレンマを感じずにはいられないわけで。
まぁこの初戦に関しては上位二校が上へ進めるわけなのだけれど、これから先は否が応にも誰かが敗北を喫する場面があると思うと、やっぱり辛いなぁ...とはどうしても感じてしまう部分ではありますね。(特に千里山とか千里山とか千里山とか...
ただ、それも咲‐saki‐という作品を視聴するに当たっての醍醐味でもありますので、その辺りも含めてこれからの全国編sideAを存分に楽しんでいければなと思います。どの高校が勝ち上がるにしても、破れるにしても、本編決勝戦のようなどこの高校も悔いが残らない清々しい結末を期待したいですね。
それはもう、四暗刻単騎を捨て、自分の麻雀と勝利に徹した池田のように気持ちの良い麻雀を見せてもらいたいものです。
次回 「信念」
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Comment
No title
それぞれの戦う理由は熱いほどに伝わって、チームのために点棒を!という想いも感じるのだけど「チームとして負けられない」と皆が強く思う描写がもう少し欲しいです。
8話の穏乃の涙でその辺りの掘り下げがあって、晴絵を含めたチーム阿知賀への想いに胸を打たれた自分。グッときました。
それと、玄は宥との絡みが多いけど穏乃や憧とのやり取りも見たいです。
皆がこうして集まるきっかけとなったのは間違いなくテレビで見た和の姿だけど、待ち続けた(持ち続けた)玄のおかげだと思うので。。もっと皆との絡みを!
なので、玄を"さん"付けする穏乃に少し寂しさを感じてしまいますw(玄は先輩だから当然なのかもしれないけど)
阿知賀の皆は本編キャラに負けないくらい好きな自分。15話まであるという事なので焦らず、阿知賀の皆を見守っていきたいと思います。
では
8話の穏乃の涙でその辺りの掘り下げがあって、晴絵を含めたチーム阿知賀への想いに胸を打たれた自分。グッときました。
それと、玄は宥との絡みが多いけど穏乃や憧とのやり取りも見たいです。
皆がこうして集まるきっかけとなったのは間違いなくテレビで見た和の姿だけど、待ち続けた(持ち続けた)玄のおかげだと思うので。。もっと皆との絡みを!
なので、玄を"さん"付けする穏乃に少し寂しさを感じてしまいますw(玄は先輩だから当然なのかもしれないけど)
阿知賀の皆は本編キャラに負けないくらい好きな自分。15話まであるという事なので焦らず、阿知賀の皆を見守っていきたいと思います。
では
>かてぽんさん
>「チームとして負けられない」と皆が強く思う描写がもう少し欲しいです。
確かにその辺りはもう少し欲しいところで、面白いのだけれど物足りなさを感じてしまうのは確かですね。と言いつつ、8話にそういった描写があるということで期待です!俄然、視聴が楽しみになってきました!
>玄を"さん"付けする穏乃に少し寂しさを感じてしまいますw
ただ、仰ると通りその辺りは実は重要で、やっぱり阿知賀としての一体感ってどこまで深みがあるのかっていう部分はイマイチ分からない部分もあるのかなと思っています。なので、「皆との絡みを!」というのは本当にそうで、晴江も含めもっと一体感を彼女たちから感じ取れれば嬉しいですし、感情移入もできるのかも知れませんね。
>阿知賀の皆は本編キャラに負けないくらい好きな自分。
>15話まであるという事なので焦らず、阿知賀の皆を見守っていきたいと思います。
いやぁ、僕も大好きなので、もっともっと掘り下げて欲しいなぁと思っています。もう既に愛着が沸いているので、最後までじっくり、熱く、可愛らしくやり切ってくれればなと思います。咲らしさ全快で決めて欲しいですね...!
確かにその辺りはもう少し欲しいところで、面白いのだけれど物足りなさを感じてしまうのは確かですね。と言いつつ、8話にそういった描写があるということで期待です!俄然、視聴が楽しみになってきました!
>玄を"さん"付けする穏乃に少し寂しさを感じてしまいますw
ただ、仰ると通りその辺りは実は重要で、やっぱり阿知賀としての一体感ってどこまで深みがあるのかっていう部分はイマイチ分からない部分もあるのかなと思っています。なので、「皆との絡みを!」というのは本当にそうで、晴江も含めもっと一体感を彼女たちから感じ取れれば嬉しいですし、感情移入もできるのかも知れませんね。
>阿知賀の皆は本編キャラに負けないくらい好きな自分。
>15話まであるという事なので焦らず、阿知賀の皆を見守っていきたいと思います。
いやぁ、僕も大好きなので、もっともっと掘り下げて欲しいなぁと思っています。もう既に愛着が沸いているので、最後までじっくり、熱く、可愛らしくやり切ってくれればなと思います。咲らしさ全快で決めて欲しいですね...!
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己を貫くことの“意志”と“意志”の攻防戦。貴方のために。みんなのために。ただひたすらに勝利を求めて。
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