ブラック★ロックシューター
ブラック★ロックシューター 2話 『夜明けを抱く空』 感想

これはあなたのためだけの戦いじゃない。
私と、あなたと、そしてあなたとの痛みを掛けた闘争なんだ。
余りにも痛くて、辛い、彼女たちを取り巻く酷く傷ついたこの環境には、正直胸を鷲掴みにされるような苦しみと悲しみを感じてしまって、もう酷くやるせない気持ちにさせられてしまったというか...
マトの苦しみも、ヨミの苦しみも、カガリの苦しみも、その全てが真っ直ぐに誰かとの関係を失いたくないっていう恐怖に繋がっているのだけれど、でも、その苦しみは誰かを傷つけるための理不尽そのものにも最終的に姿を変えていたりもして。
結局、誰しもが “自分だって傷つきたくない” と思うその状況下の中で、じゃあ何が最善なの?と問い掛ける彼女たちの疑問は、『痛みを介せずには決して辿り着けない極めて難しい難問』 だったのだと思います。

もちろん、誰だって傷付かずに全てを終わらすことが最善なんだって、そんなことは当たり前なわけで、そうすることが出来るのなら誰だってそうしてるんですよ。
それは他ならぬマトにとっても同じことで、彼女だって “自分が嫌われることが怖い” と感じながらも、それでもヨミと仲良くしたいというその気持ち一心で彼女をお祭に誘ったわけだし、その行為でカガリを傷つけようだなんて気持ちを一切マトは抱いていない。
ただ全てが円滑に上手くいくように。自分も、ヨミも、笑顔で居続けられるように。そう願って彼女は必死に訴えかける。心を開いてと。色々な色を私に見せてと。色々な色を一緒に見ようと。それは彼女の剥き出しのままの真心そのものに違いないはずなんです。


けれど、そんな彼女の本心は剥き出しのままだからこそ傷付きやすくなるわけで、その痛みって計り知れないほどに彼女を追い詰め、そしてその純真を殺そうとする。
上っ面だけの想いなら傷付いたって大したことはいのだけれど、何も着せず、ありのままの姿で晒したその感情って否定されればされるほどに後遺症を残して、その人の感情を完膚なきまでに叩きのめすほどの酷く悲しく辛い痛みで。
故に人ってそういう状況に陥るとその痛みをもう二度と味わいたくないがために、その痛みの対象(相手)を突き放そうとするのだと思います。そして、それはまさにカガリとヨミの関係性が良い例でもあって、彼女達の間にはもう昔のような仲睦まじい関係性って存在しないわけなんですよね。
互いが互いを突き放して、横の関係ではなく、縦の関係性を築き上げてしまう。一見、カガリは自分の元にヨミを近づけた上で縛り付けているようにも思えるわけですけど、それって実は逆で、彼女はヨミを近くも遠くもない一定の距離に固定することで、また感じてしまうかもしれない痛みから逃げ続けていたのではないかと捉えることが出来る。


そして、それはヨミにとっても同じことであって、彼女自身も 「その方が自分がこれ以上傷付かずに済むし、まだ楽だから」 とその関係性に甘んじていた。
また、それはヨミの母親にしたって同様で、ようはそうやってみんながみんな自分の可愛さ故に逃げ続けていて、誰かと向き合うことのその全てをも放棄し続けていたのだと思います。
けれど、そんな停滞状態を続けていたって何の意味もないのはもはや明白で、だからこそ彼女達はその一線を超え、しっかりと傷付け合い、血と涙を流して分かり合わなければいけなかったのでしょう。
むしろ、それこそが自分達の関係性を確立するための第一歩であり、言い換えれば互いの痛みを掛けた正真正銘の闘争でもあるのだと。


故に、そんな彼女達の想いの闘争が繰り広げられている世界こそがブラックロックシューターの世界観であり、そこで彼女達は傷付け合い、互いの正義を語ろうとする。
特に、マトの決死の想いがカガリを発狂させたシーンなどは、ブラックロックシューターが機関銃を打ち放ってチャリオットを粉砕、爆破させた瞬間などと非常に上手くシンクロしていて、彼女達の心の叫びのその全てが垣間見れるようなそんな場面としてよく描かれていたのではないかなと思います。
また、デッドマスターが 「助けて」 と必死に訴え掛け続けていたその姿もまた、ヨミの闘争本能の源泉として鮮明に描かれていたりして、彼女達の “自分を助け出したい” という感情の爆発もよく読み取れた場面の連続だったのではないかなと思います。痛みを省みず、鎖を引き千切ろうとするデッドマスターの姿も凄く印象的でした。

そして、ブラックロックシューター(マト)はチャリオット(カガリ)に見事、打ち勝った。いや、実際に打ち勝ったのかどうは分からないのだけれど、一つ彼女の虚像を断裁し、恐らくは自分の正義を示すことに成功したのでしょう。
瞳に灯った青い炎がまた、マトの意思の強さを示すモチーフとしても捉えることが出来たりして、ブラックロックシューターの強さの源泉がここでも垣間見ることが出来ますね。そして、チャリオットの首を落とすことで痛みの極地を描き、この闘争(彼女達の心の葛藤)には傷つけ合うことが必要だったのだということも克明に記されていたのではないかと思います。
もちろん、だからといってマトの全てが正しいということにはならないし、まだまだ彼女達の闘争は続き、その結末だって色々な痛みを伴いながら形を変え続けていくのでしょう。けれど、傷付き、傷付けることの辛さと苦しみを知ったマトだからこそ、その経験はこれからに生きるはずだし、その大切さというのも多くの人に伝えることが出来るはず。
この戦いの結末が現世にどういった影響を及ぼすのかは分かりませんが、そんな彼女達がこれからどういった行為を取り、どういった気持ちの変遷を経て相手や自分自身と接していくのか。その一挙手一投足に着目しながらこれからもこの物語を見守り続けていければいいなと、そう思いますね。次回も楽しみです。
次回 「こらえた涙があふれそうなの」
マトの苦しみも、ヨミの苦しみも、カガリの苦しみも、その全てが真っ直ぐに誰かとの関係を失いたくないっていう恐怖に繋がっているのだけれど、でも、その苦しみは誰かを傷つけるための理不尽そのものにも最終的に姿を変えていたりもして。
結局、誰しもが “自分だって傷つきたくない” と思うその状況下の中で、じゃあ何が最善なの?と問い掛ける彼女たちの疑問は、『痛みを介せずには決して辿り着けない極めて難しい難問』 だったのだと思います。

もちろん、誰だって傷付かずに全てを終わらすことが最善なんだって、そんなことは当たり前なわけで、そうすることが出来るのなら誰だってそうしてるんですよ。
それは他ならぬマトにとっても同じことで、彼女だって “自分が嫌われることが怖い” と感じながらも、それでもヨミと仲良くしたいというその気持ち一心で彼女をお祭に誘ったわけだし、その行為でカガリを傷つけようだなんて気持ちを一切マトは抱いていない。
ただ全てが円滑に上手くいくように。自分も、ヨミも、笑顔で居続けられるように。そう願って彼女は必死に訴えかける。心を開いてと。色々な色を私に見せてと。色々な色を一緒に見ようと。それは彼女の剥き出しのままの真心そのものに違いないはずなんです。


けれど、そんな彼女の本心は剥き出しのままだからこそ傷付きやすくなるわけで、その痛みって計り知れないほどに彼女を追い詰め、そしてその純真を殺そうとする。
上っ面だけの想いなら傷付いたって大したことはいのだけれど、何も着せず、ありのままの姿で晒したその感情って否定されればされるほどに後遺症を残して、その人の感情を完膚なきまでに叩きのめすほどの酷く悲しく辛い痛みで。
故に人ってそういう状況に陥るとその痛みをもう二度と味わいたくないがために、その痛みの対象(相手)を突き放そうとするのだと思います。そして、それはまさにカガリとヨミの関係性が良い例でもあって、彼女達の間にはもう昔のような仲睦まじい関係性って存在しないわけなんですよね。
互いが互いを突き放して、横の関係ではなく、縦の関係性を築き上げてしまう。一見、カガリは自分の元にヨミを近づけた上で縛り付けているようにも思えるわけですけど、それって実は逆で、彼女はヨミを近くも遠くもない一定の距離に固定することで、また感じてしまうかもしれない痛みから逃げ続けていたのではないかと捉えることが出来る。


そして、それはヨミにとっても同じことであって、彼女自身も 「その方が自分がこれ以上傷付かずに済むし、まだ楽だから」 とその関係性に甘んじていた。
また、それはヨミの母親にしたって同様で、ようはそうやってみんながみんな自分の可愛さ故に逃げ続けていて、誰かと向き合うことのその全てをも放棄し続けていたのだと思います。
けれど、そんな停滞状態を続けていたって何の意味もないのはもはや明白で、だからこそ彼女達はその一線を超え、しっかりと傷付け合い、血と涙を流して分かり合わなければいけなかったのでしょう。
むしろ、それこそが自分達の関係性を確立するための第一歩であり、言い換えれば互いの痛みを掛けた正真正銘の闘争でもあるのだと。


故に、そんな彼女達の想いの闘争が繰り広げられている世界こそがブラックロックシューターの世界観であり、そこで彼女達は傷付け合い、互いの正義を語ろうとする。
特に、マトの決死の想いがカガリを発狂させたシーンなどは、ブラックロックシューターが機関銃を打ち放ってチャリオットを粉砕、爆破させた瞬間などと非常に上手くシンクロしていて、彼女達の心の叫びのその全てが垣間見れるようなそんな場面としてよく描かれていたのではないかなと思います。
また、デッドマスターが 「助けて」 と必死に訴え掛け続けていたその姿もまた、ヨミの闘争本能の源泉として鮮明に描かれていたりして、彼女達の “自分を助け出したい” という感情の爆発もよく読み取れた場面の連続だったのではないかなと思います。痛みを省みず、鎖を引き千切ろうとするデッドマスターの姿も凄く印象的でした。

そして、ブラックロックシューター(マト)はチャリオット(カガリ)に見事、打ち勝った。いや、実際に打ち勝ったのかどうは分からないのだけれど、一つ彼女の虚像を断裁し、恐らくは自分の正義を示すことに成功したのでしょう。
瞳に灯った青い炎がまた、マトの意思の強さを示すモチーフとしても捉えることが出来たりして、ブラックロックシューターの強さの源泉がここでも垣間見ることが出来ますね。そして、チャリオットの首を落とすことで痛みの極地を描き、この闘争(彼女達の心の葛藤)には傷つけ合うことが必要だったのだということも克明に記されていたのではないかと思います。
もちろん、だからといってマトの全てが正しいということにはならないし、まだまだ彼女達の闘争は続き、その結末だって色々な痛みを伴いながら形を変え続けていくのでしょう。けれど、傷付き、傷付けることの辛さと苦しみを知ったマトだからこそ、その経験はこれからに生きるはずだし、その大切さというのも多くの人に伝えることが出来るはず。
この戦いの結末が現世にどういった影響を及ぼすのかは分かりませんが、そんな彼女達がこれからどういった行為を取り、どういった気持ちの変遷を経て相手や自分自身と接していくのか。その一挙手一投足に着目しながらこれからもこの物語を見守り続けていければいいなと、そう思いますね。次回も楽しみです。
次回 「こらえた涙があふれそうなの」
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