THE IDOLM@STER
THE IDOLM@STER #21 『まるで花が咲くように』 感想

眠りから醒めた青い鳥は約束を交わし、そして飛び立つ。
巡るめく春に向かい、決意と信頼をその笑みに浮かべて。
一人のアイドルとして、一人の仲間として。そんな想いを胸に秘めながら、その歌声を心ゆくままに響き渡らせ、満面の笑みと喜びに満ちた綺麗な涙を我々視聴者と全てのファン、そして仲間たちに向け見せてくれた千早。けれど、そんな彼女の物語は未だ終わりを迎えてはいなかった。
それはもちろん、尚も続く961プロの嫌がらせと悪質な妨害といった点でもそれは同じことなのだけれど、
それ以上に、千早の胸中には一つのわだかまりと大切に抱える彼女なりの想いと小さな願いがあって。
自分の足で立つ。自分の足で歩く。それが今の私に架せられた一つの難題であり、それこそが皆の下へと自分が辿り着くために必要なこと。それは劇中でも彼女自身の口から語られていた通り、そこだけが彼女の中であと一つ乗り越えなければいけない壁として存在していたのでしょう。

それだって、もちろん前回のように、そして今回のようにみんなの気持ちに頼っていけば簡単に踏み出せるあと一歩の壁でもあったとは思うんですよね。みんながいるからこその765プロなわけで、その助け合いだってまた必要不可欠であり、むしろ今までだってそうして彼女たちはそれぞれの道を歩んできたわけなんですから。
けれど、それは行き過ぎると、もしかしたら “甘え” にもなり兼ねない非常に際どく微妙なライン。
これは夏休みの合宿回から語られていることでもあり、もっと言えば1話の頃から提示され続けていたことでもあるのですが、どうしたって彼女たちは永遠に一緒にいられるわけではないし、同じ現場で同じ仕事をこなしていくわけでは決してないんです。
あの色とりどりの花火でもそれらが暗示されていたように、アイドルとしての需要や人気というのはそれこそ人それぞれなわけで、そこに統一性なんて皆無だし、だからこそ一人でなんとかしなくちゃいけないことだって必然とやってくる。故にだからこそ、いつまでも周囲の優しさに甘えてはいられない。そう考えるのもむしろ当然で、そう考えられたところにこそ千早の成長って見て取れるはずですよね。
そして、それはもちろん “孤立する” ということではなく “自律する” ということであるわけで、その先にこそ彼女たちの進む道って必然と見えてくるのではないでしょうか。

また、そうして自立と自律を重ねて体言してみせた千早を温かく見守る765プロ一同の優しい表情は、彼女を見守ってきた全ての人の感情を何もかも代弁してくれているかのようで、観ているだけで嬉しく、また色々な想いが込み上げてきてしまうシーンであったように感じられました。
それこそ、何も辛かったのは千早だけではないんですよね。いや、一番辛かったのは千早だったことに違いはないのだけれど、そんな千早を見て辛く感じるのは仲間だからこその必然な感受性。でも、だからこそ彼女の開放感と喜びがそのまま同じベクトルの喜びとして周囲のみんなにも伝わるんです。
ファンの温かい声援、みんなの安堵の表情、プロデューサーの決死の想い...。
そういった全ての “ありがとう” と “おかえりなさい” がこの空間には詰まってる。

それは何もかもを犠牲にし、その果てに孤立迎えてでもその夢を叶えるのだと、あの「蒼い鳥」を歌っていた彼女が、765プロのみんなとの「約束」を経て、長い悪夢のような眠りから覚めた瞬間でもあって。
もう一人じゃない。ありのままでいたい。けれどそれ故に、甘え続けは決してしない。
みんなの気持ちや、ファンの気持ち。自分を愛してくれる多くの人の気持ちに自分自身で応えたい。
そんな仲間の存在を全肯定した先にある自信と決意に満ち溢れた彼女の行動と歌声にはもうどんな雑音も入り込めはしないし、その求心力と魅力的な彼女の姿はきっと多くの人の胸に響いたのではないかと思います。きっと、あの音響スタッフの方が自分自身に憤りを感じ、彼女を助けたいと感じたその気持ちの変遷にだって、そういった千早の強い気持ちが大きく影響していたはずなんですから。


また、孤立と自律を履き違えてしまった存在と、その違いを理解し、また新たな門出を迎えた少年たちの姿もそこにはあったわけで、やはりそこで生じる差って物凄く大きいものなのでしょう。
その背中に仲間という大きな存在があるからこそ前に進めるという余裕のある姿勢と、自分には何も残されていないと思うが故に、もうそれしかないのだと後のない切羽詰った状態で前に進むその姿勢。
また、そう考えると千早の場合はむしろ後者の961社長と同じような境遇性がそこから垣間見れるわけなのですけど、でもそこで違ってくるものこそが仲間の存在であり、その存在を許諾しつつ自分の在り方にも疑問を抱いてきた今までの千早の姿勢なんですよね。
たとえそれが自分の信念であっても “絶対” だなんていう風には思わない。色々な経験を経て、疑問をぶつけ合い、そして助け合うことで多くを学び合うということ。その必要性と重要性。また、その辺りというのは美希回や響回、そして貴音回などでも克明に描かれていたことでもあるんです。

一人でこなすべきことも、二人でこなすべきことも、ふと周りを見渡せばそこにはそんな自分たちの姿を見守ってくれるたくさんの温かい存在が必ずある。だから頑張れる。まだまだ前に進んでいける。自分がここに居ていいんだって思える。
また、それ故にそれぞれのアイドルとしての存在が否定される理由なんてどこにもありはしないんです。彼女たちは一人のアイドルとしてあの輝くステージの上にも立つことが出来るし、時には一人の人として、女性としてあのお洒落なバーの観客席にも静かに座りながらその時の流れに身を任せることができる。
アイドルとしての生き方や、プロとしての生き方というものはあるのかも知れないけれど、でもどうやって生きていくか、自分の道を進んでいくのかというのは全て自分次第。自分で決めて、自分で生きる。それは律子回において、彼女が今はまだその将来が分からないと一つ口にしておきながらも、“今” はこうして生きると決心をしていたのとそれもまた同じこと。一つの道に縛られる必要性なんて決してないんです。
それは千早が自らの道を再び歩み始めたように、ジュピターが束縛の道から逃れたように、あの音響担当の人が自分に忠実に生きたように、全てはそここそが行き着く場所なのだと思います。そして、そういった道の先にこそそれぞれが想い抱く幸せは存在しているのでしょう。

また、それは今回の準主役でもあった小鳥にとっても同じことであって、そんな彼女だからこそ「もちろん夢は人それぞれだけど、私は今が幸せ」というあの言葉にも、一種の重みと温もりが増していたように感じられました。
それは現状に妥協するわけでも、誰かに甘えるというわけでもなく、まさにそれこそが “止めないこと” であり “諦めないということ” に繋がっていくはずなのではないでしょうか。そんな想いが込められた今回のED曲「空」には本当に強い説得力がありましたね。彼女だからこその優しさも十二分に詰まっていて、その点はまさにアイドルマスターという作品の引き出しの多さと、その奥深さを上手く表現化していたように感じますし、私自身、強く感銘を打たれました。
絆や仲間といったテーマ性も重要なんだと表現した上で、こういったこともしっかりと描いてくれる。アイドルって何?その答えはまだまだ出ることはないし、もしかしたら永遠に出ることはないそれぞれに架せられた命題なのかもしれないわけですけど、それでも一つ答えを示す。こういう生き方もあるし、それが光り輝くということ、キラキラ生きるということなのだと。
もう、ここまで描いてくれれば個人的にも大満足ですし、本当に素晴らしい作品だと胸を張って言えるアニメだと思います。この作品に出会えて良かった心から思えますね。大好きです。

最後に個人的に凄く気に入ってしまったEDのシーンを一つ。
765プロを優しく、温かく、時に力強く支える3人の微笑ましい姿。
彼らがいるからこその物語だということを鮮明に描いた素晴らしい一幕だったのではないでしょうか。
小鳥の笑顔のピースも含め、最後の最後まで本当に素敵な空間を提供してくれる作品ですね。
次回 「聖夜の夜に」
それはもちろん、尚も続く961プロの嫌がらせと悪質な妨害といった点でもそれは同じことなのだけれど、
それ以上に、千早の胸中には一つのわだかまりと大切に抱える彼女なりの想いと小さな願いがあって。
自分の足で立つ。自分の足で歩く。それが今の私に架せられた一つの難題であり、それこそが皆の下へと自分が辿り着くために必要なこと。それは劇中でも彼女自身の口から語られていた通り、そこだけが彼女の中であと一つ乗り越えなければいけない壁として存在していたのでしょう。

それだって、もちろん前回のように、そして今回のようにみんなの気持ちに頼っていけば簡単に踏み出せるあと一歩の壁でもあったとは思うんですよね。みんながいるからこその765プロなわけで、その助け合いだってまた必要不可欠であり、むしろ今までだってそうして彼女たちはそれぞれの道を歩んできたわけなんですから。
けれど、それは行き過ぎると、もしかしたら “甘え” にもなり兼ねない非常に際どく微妙なライン。
これは夏休みの合宿回から語られていることでもあり、もっと言えば1話の頃から提示され続けていたことでもあるのですが、どうしたって彼女たちは永遠に一緒にいられるわけではないし、同じ現場で同じ仕事をこなしていくわけでは決してないんです。
あの色とりどりの花火でもそれらが暗示されていたように、アイドルとしての需要や人気というのはそれこそ人それぞれなわけで、そこに統一性なんて皆無だし、だからこそ一人でなんとかしなくちゃいけないことだって必然とやってくる。故にだからこそ、いつまでも周囲の優しさに甘えてはいられない。そう考えるのもむしろ当然で、そう考えられたところにこそ千早の成長って見て取れるはずですよね。
そして、それはもちろん “孤立する” ということではなく “自律する” ということであるわけで、その先にこそ彼女たちの進む道って必然と見えてくるのではないでしょうか。

また、そうして自立と自律を重ねて体言してみせた千早を温かく見守る765プロ一同の優しい表情は、彼女を見守ってきた全ての人の感情を何もかも代弁してくれているかのようで、観ているだけで嬉しく、また色々な想いが込み上げてきてしまうシーンであったように感じられました。
それこそ、何も辛かったのは千早だけではないんですよね。いや、一番辛かったのは千早だったことに違いはないのだけれど、そんな千早を見て辛く感じるのは仲間だからこその必然な感受性。でも、だからこそ彼女の開放感と喜びがそのまま同じベクトルの喜びとして周囲のみんなにも伝わるんです。
ファンの温かい声援、みんなの安堵の表情、プロデューサーの決死の想い...。
そういった全ての “ありがとう” と “おかえりなさい” がこの空間には詰まってる。

それは何もかもを犠牲にし、その果てに孤立迎えてでもその夢を叶えるのだと、あの「蒼い鳥」を歌っていた彼女が、765プロのみんなとの「約束」を経て、長い悪夢のような眠りから覚めた瞬間でもあって。
もう一人じゃない。ありのままでいたい。けれどそれ故に、甘え続けは決してしない。
みんなの気持ちや、ファンの気持ち。自分を愛してくれる多くの人の気持ちに自分自身で応えたい。
そんな仲間の存在を全肯定した先にある自信と決意に満ち溢れた彼女の行動と歌声にはもうどんな雑音も入り込めはしないし、その求心力と魅力的な彼女の姿はきっと多くの人の胸に響いたのではないかと思います。きっと、あの音響スタッフの方が自分自身に憤りを感じ、彼女を助けたいと感じたその気持ちの変遷にだって、そういった千早の強い気持ちが大きく影響していたはずなんですから。


また、孤立と自律を履き違えてしまった存在と、その違いを理解し、また新たな門出を迎えた少年たちの姿もそこにはあったわけで、やはりそこで生じる差って物凄く大きいものなのでしょう。
その背中に仲間という大きな存在があるからこそ前に進めるという余裕のある姿勢と、自分には何も残されていないと思うが故に、もうそれしかないのだと後のない切羽詰った状態で前に進むその姿勢。
また、そう考えると千早の場合はむしろ後者の961社長と同じような境遇性がそこから垣間見れるわけなのですけど、でもそこで違ってくるものこそが仲間の存在であり、その存在を許諾しつつ自分の在り方にも疑問を抱いてきた今までの千早の姿勢なんですよね。
たとえそれが自分の信念であっても “絶対” だなんていう風には思わない。色々な経験を経て、疑問をぶつけ合い、そして助け合うことで多くを学び合うということ。その必要性と重要性。また、その辺りというのは美希回や響回、そして貴音回などでも克明に描かれていたことでもあるんです。

一人でこなすべきことも、二人でこなすべきことも、ふと周りを見渡せばそこにはそんな自分たちの姿を見守ってくれるたくさんの温かい存在が必ずある。だから頑張れる。まだまだ前に進んでいける。自分がここに居ていいんだって思える。
また、それ故にそれぞれのアイドルとしての存在が否定される理由なんてどこにもありはしないんです。彼女たちは一人のアイドルとしてあの輝くステージの上にも立つことが出来るし、時には一人の人として、女性としてあのお洒落なバーの観客席にも静かに座りながらその時の流れに身を任せることができる。
アイドルとしての生き方や、プロとしての生き方というものはあるのかも知れないけれど、でもどうやって生きていくか、自分の道を進んでいくのかというのは全て自分次第。自分で決めて、自分で生きる。それは律子回において、彼女が今はまだその将来が分からないと一つ口にしておきながらも、“今” はこうして生きると決心をしていたのとそれもまた同じこと。一つの道に縛られる必要性なんて決してないんです。
それは千早が自らの道を再び歩み始めたように、ジュピターが束縛の道から逃れたように、あの音響担当の人が自分に忠実に生きたように、全てはそここそが行き着く場所なのだと思います。そして、そういった道の先にこそそれぞれが想い抱く幸せは存在しているのでしょう。

また、それは今回の準主役でもあった小鳥にとっても同じことであって、そんな彼女だからこそ「もちろん夢は人それぞれだけど、私は今が幸せ」というあの言葉にも、一種の重みと温もりが増していたように感じられました。
それは現状に妥協するわけでも、誰かに甘えるというわけでもなく、まさにそれこそが “止めないこと” であり “諦めないということ” に繋がっていくはずなのではないでしょうか。そんな想いが込められた今回のED曲「空」には本当に強い説得力がありましたね。彼女だからこその優しさも十二分に詰まっていて、その点はまさにアイドルマスターという作品の引き出しの多さと、その奥深さを上手く表現化していたように感じますし、私自身、強く感銘を打たれました。
絆や仲間といったテーマ性も重要なんだと表現した上で、こういったこともしっかりと描いてくれる。アイドルって何?その答えはまだまだ出ることはないし、もしかしたら永遠に出ることはないそれぞれに架せられた命題なのかもしれないわけですけど、それでも一つ答えを示す。こういう生き方もあるし、それが光り輝くということ、キラキラ生きるということなのだと。
もう、ここまで描いてくれれば個人的にも大満足ですし、本当に素晴らしい作品だと胸を張って言えるアニメだと思います。この作品に出会えて良かった心から思えますね。大好きです。

最後に個人的に凄く気に入ってしまったEDのシーンを一つ。
765プロを優しく、温かく、時に力強く支える3人の微笑ましい姿。
彼らがいるからこその物語だということを鮮明に描いた素晴らしい一幕だったのではないでしょうか。
小鳥の笑顔のピースも含め、最後の最後まで本当に素敵な空間を提供してくれる作品ですね。
次回 「聖夜の夜に」
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