THE IDOLM@STER
THE IDOLM@STER #16 『ひとりぼっちの気持ち』 感想

一人じゃどうしようもなくたって、みんながいればなんくるないさ。
仲間を信じて、自分を信じて。きっとその声は誰かに響く。
ちょっとした衝突で生じてしまった大きな亀裂。
それは傍から観れば本当に些細な大人気のない喧嘩で、「そのぐらいで意地張るなよ」 とつい
言ってしまいたくなるような子供染みたものに見えてしまうものなのかも知れません。
けれど、その二人が身を置く環境にしっかり目を向けてやればそれはそんな幼稚なものでは
決してなく、実は二人の関係性を如実に表している大事な大事な一つの繋がりでもあって。
いや、むしろそれこそがたった一つの繋がりになりかけてしまっていたのかもとも思えばむしろ
その繋がりを必死に守ろうとしていたいぬ美たちの叫びだって当たり前の訴えだったのかも
知れないとさえ言えるわけなんですよね。
みんな響のことが大好きだから。決して離れたくない家族だから。それ以外に理由なんてない。

ただ今回の話を通しても当然、いぬ美たちの心情を探ることは出来ないし、その真意は分からない。
“それらしい” ことは言えたとしても、自分は響ではないし動物の言葉は分からないわけですからね。
これは皮肉でも何でもなくて、まぁ当たり前のことを言ってるだけと受け取ってもらえればいいです。
でも、その根底にあるものとして一つ言えることがあるとするならば、それは当然先程も述べたこととも同じであって、やっぱり “響を失いたくない” “響との時間を大切にしたい” っていう極有り触れた 『家族愛』 に他ならないんです。
またその家族愛といった点に焦点を当てながら観て行くと、仕事が忙しくなった響はいぬ美たちとの
その絆を確かめる切欠を大きく失っていたのでは?という一つの疑問が生まれてくる。
そして、その答えとして今回提示されたのがいぬ美たちの食事の市販物化という出来事で、これは劇中でも語られていた通り、やはりそこで両者の間には擦れ違いが生じてしまっていたわけなんですよね。

それだって、いぬ美もハム蔵も響と一緒に仕事をこなしていたわけだしその忙しさは知っていたはずで、それもこれも自分たちのためでもあるのだということは気付いていたのではないかと思います。
だから多分、そういった食事のことだって致し方ない部分はあるのだとも理解していたのでしょうし、
まだその点においてはいぬ美たちも我慢出来ていたのかも知れない。
自分たちのために頑張る響を支えるために、自分たちもどこかで落としどころを見つけなくてはいけないと... そう考えていたのかも知れない。
けれど、彼女たちにもどうしても譲れないところってあって、それがきっと響との繋がりであり、
それは言い換えれば “響と共に過ごす時間” でもあったのでしょう。
自分たちと響の過ごす時間が例えどれだけ短くなろうとも食事の時間だけは決して失われないし、
だからこそ、そこで彼女たちは繋がりを再確認できる。その嬉しさ。その喜び。
それは何にも変えがたい、彼女たちにとっての宝物にも値する貴重な時間でもあったはずです。


けれど、その時間さえもお座なりになりつつある現状にいぬ美たちは一石を投じてみた。
このままじゃ大切な人との時間がだんだんと磨り減り、いずれ無くなってしまうのではという
一種の恐怖と焦燥感。それは何よりも怖いし、何一つ望んでいない未来の形だから。
故に、いぬ美たちは別に響に対して幻滅していたとか信用を失くしていたとかそういうことじゃ
ないんじゃないかなって思うんです。ようは試していただけ。
自分たちの元に戻ってきてと。この声がその心に響くのならば応えて欲しいと。
だから言ってしまえば、それもこれも “響を信じていたからこその行動” なんですよ。
でも、響はそこで相手の行動原理を短絡的に決めつけ “信じること” を一瞬でも止めてしまったわけで、そう考えるといぬ美が怒ってしまった理由も分かるよなというかね・・・。
それだってハム蔵が響を引っぱたいた理由だって十二分に理解できると思うんです。
今まで一緒に過ごしてきた時間をたった一つの切欠を期にして全て失くそうとする響の態度。
それはやはり、彼らにとっても “信じたくない響の姿勢” でもあるはずなんですから。

けれど、フッと脳裏を過ぎる最近の繋がりの在り方に響自身も疑問を抱き始めたわけで、
そこで初めて、いぬ美たちと響の心は通じ合うことができたのかなと思います。
いぬ美にしてもハム蔵にしても、響を信じ続けていたからこそ彼女に反発をしたわけですけど、
その信じる心がやっと響の胸にも届いた瞬間がまさにあの場面でもあって。
そしてその気持ちに呼応するかのように響を助けに現れた家族の姿は何よりも頼りがいのある
力強い想いを映し出していたと共に、そこには新たな信頼関係がまた芽生えていたのではと。
大袈裟かも知れませんが、少なくとも私はそこまでに力強い彼女たちの意志というものを強く
感じられたように思いました。
晴れ行く天気との演出も相まって非常に清々しい印象を残していましたね。


まぁだからようは、どんなことがあったってまずは信じたい人のことは信じ続けて欲しいし、
そうやって信じ続けている自分をまずは信じてってことに繋がっていくのかなと思うんです。
自分は誰を信じるべきなのか、自分は何を信じるべきなのか。
その答えを懸命に自分で探し出して、そうやって見つけた答えを決して疑わないでということ。
ただ、もちろんその “答えを探す” という行為は慎重にやらなくちゃいけないわけで、
そういったことを簡単に済ませてしまうと今回の響みたいなことにもなってしまう可能性だってある。
それこそ、その典型例で言えばジュピターの人たちだってまさにそうですよね。
ただただ、961プロの社長に言われたことを鵜呑みにして信じてしまっているがために、真実には全く近づけないし、その方向性は悪い方へ悪い方へと進んでいってしまう。
“信じること” と “甘える” ことは全く違うわけなんですから。
逆に言えばプロデューサーはあれだけ765プロのアイドルたちとの濃厚な時間を過ごしてきて
それ故に信じるという答えを見つけ出した、所謂、大きな信念の元の信頼なわけで、
その分、ジュピターとはその信じることに対する覚悟も強さも想いも全くと言っていいほど違うんですよね。
そして、それはあのディレクターに対しても同じことが言えるわけでもあって、そういった信頼関係って
観ている人は観ているし、分かっている人は分かってるわけで、それ故に他者が介入する隙なんて
きっとどこにだってないんですよ。きっとあの人だって響を信じる気持ちを曲げようなんてこれっぽっちも
思っていなかったのでしょうから。

というわけで、今回はそんな色々な方向から “信頼” というテーマ性にアプローチを仕掛けてきた
なかなかに面白く、深い話だったように私は感じました。
動物たちと人との絆という部分がメインの話だっただけにその全てを汲み取るのはなかなかに難しくも
あったわけですけど、でもそれ以外の部分でもそれぞれの絆を描き出してくれていたので
色々と比較しながら、見比べながら多くのことを読み取れたのは展開の巧さなのかなとも思います。
響の良さもよく描き出されていましたし(まぁ多少は響が可愛く描かれていなかった場面もありましたが)、今まで積み重ねてきたこともしっかりと組み込まれていたのは相変わらずのこの作品の強み。
次回以降もこういったテーマ性の強さを生かした上で、キャラの良さを存分に引き出すような話を
大いに期待しております。どちらかと言えば8話のようなノリの話でしたけど、その中にもしっかりと
言いたいことを乗せる辺りはさすがですね。面白かったです!
次回 「真、まことの王子様」
それは傍から観れば本当に些細な大人気のない喧嘩で、「そのぐらいで意地張るなよ」 とつい
言ってしまいたくなるような子供染みたものに見えてしまうものなのかも知れません。
けれど、その二人が身を置く環境にしっかり目を向けてやればそれはそんな幼稚なものでは
決してなく、実は二人の関係性を如実に表している大事な大事な一つの繋がりでもあって。
いや、むしろそれこそがたった一つの繋がりになりかけてしまっていたのかもとも思えばむしろ
その繋がりを必死に守ろうとしていたいぬ美たちの叫びだって当たり前の訴えだったのかも
知れないとさえ言えるわけなんですよね。
みんな響のことが大好きだから。決して離れたくない家族だから。それ以外に理由なんてない。

ただ今回の話を通しても当然、いぬ美たちの心情を探ることは出来ないし、その真意は分からない。
“それらしい” ことは言えたとしても、自分は響ではないし動物の言葉は分からないわけですからね。
これは皮肉でも何でもなくて、まぁ当たり前のことを言ってるだけと受け取ってもらえればいいです。
でも、その根底にあるものとして一つ言えることがあるとするならば、それは当然先程も述べたこととも同じであって、やっぱり “響を失いたくない” “響との時間を大切にしたい” っていう極有り触れた 『家族愛』 に他ならないんです。
またその家族愛といった点に焦点を当てながら観て行くと、仕事が忙しくなった響はいぬ美たちとの
その絆を確かめる切欠を大きく失っていたのでは?という一つの疑問が生まれてくる。
そして、その答えとして今回提示されたのがいぬ美たちの食事の市販物化という出来事で、これは劇中でも語られていた通り、やはりそこで両者の間には擦れ違いが生じてしまっていたわけなんですよね。

それだって、いぬ美もハム蔵も響と一緒に仕事をこなしていたわけだしその忙しさは知っていたはずで、それもこれも自分たちのためでもあるのだということは気付いていたのではないかと思います。
だから多分、そういった食事のことだって致し方ない部分はあるのだとも理解していたのでしょうし、
まだその点においてはいぬ美たちも我慢出来ていたのかも知れない。
自分たちのために頑張る響を支えるために、自分たちもどこかで落としどころを見つけなくてはいけないと... そう考えていたのかも知れない。
けれど、彼女たちにもどうしても譲れないところってあって、それがきっと響との繋がりであり、
それは言い換えれば “響と共に過ごす時間” でもあったのでしょう。
自分たちと響の過ごす時間が例えどれだけ短くなろうとも食事の時間だけは決して失われないし、
だからこそ、そこで彼女たちは繋がりを再確認できる。その嬉しさ。その喜び。
それは何にも変えがたい、彼女たちにとっての宝物にも値する貴重な時間でもあったはずです。


けれど、その時間さえもお座なりになりつつある現状にいぬ美たちは一石を投じてみた。
このままじゃ大切な人との時間がだんだんと磨り減り、いずれ無くなってしまうのではという
一種の恐怖と焦燥感。それは何よりも怖いし、何一つ望んでいない未来の形だから。
故に、いぬ美たちは別に響に対して幻滅していたとか信用を失くしていたとかそういうことじゃ
ないんじゃないかなって思うんです。ようは試していただけ。
自分たちの元に戻ってきてと。この声がその心に響くのならば応えて欲しいと。
だから言ってしまえば、それもこれも “響を信じていたからこその行動” なんですよ。
でも、響はそこで相手の行動原理を短絡的に決めつけ “信じること” を一瞬でも止めてしまったわけで、そう考えるといぬ美が怒ってしまった理由も分かるよなというかね・・・。
それだってハム蔵が響を引っぱたいた理由だって十二分に理解できると思うんです。
今まで一緒に過ごしてきた時間をたった一つの切欠を期にして全て失くそうとする響の態度。
それはやはり、彼らにとっても “信じたくない響の姿勢” でもあるはずなんですから。

けれど、フッと脳裏を過ぎる最近の繋がりの在り方に響自身も疑問を抱き始めたわけで、
そこで初めて、いぬ美たちと響の心は通じ合うことができたのかなと思います。
いぬ美にしてもハム蔵にしても、響を信じ続けていたからこそ彼女に反発をしたわけですけど、
その信じる心がやっと響の胸にも届いた瞬間がまさにあの場面でもあって。
そしてその気持ちに呼応するかのように響を助けに現れた家族の姿は何よりも頼りがいのある
力強い想いを映し出していたと共に、そこには新たな信頼関係がまた芽生えていたのではと。
大袈裟かも知れませんが、少なくとも私はそこまでに力強い彼女たちの意志というものを強く
感じられたように思いました。
晴れ行く天気との演出も相まって非常に清々しい印象を残していましたね。


まぁだからようは、どんなことがあったってまずは信じたい人のことは信じ続けて欲しいし、
そうやって信じ続けている自分をまずは信じてってことに繋がっていくのかなと思うんです。
自分は誰を信じるべきなのか、自分は何を信じるべきなのか。
その答えを懸命に自分で探し出して、そうやって見つけた答えを決して疑わないでということ。
ただ、もちろんその “答えを探す” という行為は慎重にやらなくちゃいけないわけで、
そういったことを簡単に済ませてしまうと今回の響みたいなことにもなってしまう可能性だってある。
それこそ、その典型例で言えばジュピターの人たちだってまさにそうですよね。
ただただ、961プロの社長に言われたことを鵜呑みにして信じてしまっているがために、真実には全く近づけないし、その方向性は悪い方へ悪い方へと進んでいってしまう。
“信じること” と “甘える” ことは全く違うわけなんですから。
逆に言えばプロデューサーはあれだけ765プロのアイドルたちとの濃厚な時間を過ごしてきて
それ故に信じるという答えを見つけ出した、所謂、大きな信念の元の信頼なわけで、
その分、ジュピターとはその信じることに対する覚悟も強さも想いも全くと言っていいほど違うんですよね。
そして、それはあのディレクターに対しても同じことが言えるわけでもあって、そういった信頼関係って
観ている人は観ているし、分かっている人は分かってるわけで、それ故に他者が介入する隙なんて
きっとどこにだってないんですよ。きっとあの人だって響を信じる気持ちを曲げようなんてこれっぽっちも
思っていなかったのでしょうから。

というわけで、今回はそんな色々な方向から “信頼” というテーマ性にアプローチを仕掛けてきた
なかなかに面白く、深い話だったように私は感じました。
動物たちと人との絆という部分がメインの話だっただけにその全てを汲み取るのはなかなかに難しくも
あったわけですけど、でもそれ以外の部分でもそれぞれの絆を描き出してくれていたので
色々と比較しながら、見比べながら多くのことを読み取れたのは展開の巧さなのかなとも思います。
響の良さもよく描き出されていましたし(まぁ多少は響が可愛く描かれていなかった場面もありましたが)、今まで積み重ねてきたこともしっかりと組み込まれていたのは相変わらずのこの作品の強み。
次回以降もこういったテーマ性の強さを生かした上で、キャラの良さを存分に引き出すような話を
大いに期待しております。どちらかと言えば8話のようなノリの話でしたけど、その中にもしっかりと
言いたいことを乗せる辺りはさすがですね。面白かったです!
次回 「真、まことの王子様」
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