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アニメ 感想 -視聴中-

Fate/zero #03 『冬木の地』 感想

 Fate3話 シーン1


籠の中の鳥の如く、何を望み何を得る為に彼らはそこへ留まるのか。
多くの謎と思惑はさらに深まりつつ、いざ、開戦へ...



それぞれに架せられた振り切ることの出来ない運命。
その手足を離さず枷として永遠に纏わり付き、当人の自由を奪う束縛の鎖。

むしろ、Fate/zeroという作品のストーリー性、ドラマ性、はたまたテーマ性といったところは
最終的には全てそこへ行き着くようにと創り込まれているのかも知れません。

そしてその鎖を引き千切り、また振り解くために人々は一体何を何処まで犠牲に出来るのか。
また、その犠牲から生まれる残虐性、自己性、正義感を何処まで肯定できるのか。

むしろ、聖杯戦争というのはそういった人間が拠り所とする絶対的な自信を計り知るための
善悪どちらの要素をも孕んだ写し鏡なのだと言えるのかも知れない。


Fate3話 シーン2Fate3話 シーン3


それは、各々が自分自身に対しどこまでやれるのかということを改めて問うための戦い。

そして、それぞれの心の内に何かしらの大きな思惑と願いが根付いているからこそのその決意をどう守り抜き、どう維持し続けるのかといった戦略や己の強さのみでは決して生き残ることのできない精神的主柱が強く問われる戦い

ウェイバーのように魔術士の家系というその鎖に縛り上げられた自分の姿を馬鹿にしてきた人々を見返すためでも、遠坂のように教会のために動くのか、または何らかの自らが固執するその願いを叶えるためでもそれは何にしたって一向に構わない。

まぁ言ってしまえばそれ自体の動機って実は何でもよくて、つまりはそのために何を犠牲にし、何を手放すことが出来るのかというその気持ちの強さ。それがどれだけ強大なものなのかということだけ。
むしろ、聖杯が人選を行う際にマスターの魔力や戦力を考慮しないというその原因も遂にはそこに帰属することなのではないかと思います。


Fate3話 シーン4Fate3話 シーン5


そしてだからこそ、その結果で敵を騙すことになろうとも、例え味方をも騙すことになろうとも、
そこには何一つとして何の罪状も突きつけられはしないのでしょう。

ハナから全ての参戦者は同じ舞台に立ち、願いはそれぞれで違えど同じものを目的として、
今、こうしてその場にそれぞれが存在しているわけなのだから。

故に、綺礼に関しても今回の件が遠坂との共同戦略であったとしても、その裏をさらにかき
父をも騙す彼自身のみが知る聖杯奪取のための戦略であってもそれ自体は彼自身の抱える
立派な正義としてきっとこの作品は描き続ける。

“正解などはなく、不正解もなく、誰しもが正解に成り、不正解にも成りえる”
そういったスタンス


むしろ、私はこの作品がそういった根底部分を持ち合わせているからこそ、余計に魅力を感じるし
その結果で何を描くのかという点に心が躍るわけで、そういうズレの隙間を彷徨うような雰囲気が
凄く堪らなく感じます。

アニメにおいての登場人物の心情とその葛藤の描写というのは個人的に視聴の醍醐味ですから。
そういった部分が見え隠れするからこそ、深みも凄みも増していく。というあくまで自論ですけどね。


また、原作者が虚淵さんだからということも含めれば、その点ではまどか☆マギカにおいても
同様のことが描かれていたのではないかと思うと、またその答えの出し方には余計に興味を惹かれざる終えない
ところです。

あの作品もキュウベェという立場を完全悪としては描いていなかったわけですからね。
それは見方や、展開、それぞれの思惑の強さ次第で様々な結論を出してくれる。


 Fate3話 シーン6


そして、そういった諸々のテーマ性というのは衛宮、セイバー、アイリにおける関係性に対しても
同様のことが言えたりするわけで、そこでまた一つの葛藤が非情なまでに描かれることになる。

セイバーのマスターとして・・・ 悪く言えば衛宮の囮として日本にやってきたアイリ。
自らを “聖杯戦争のための人形に過ぎない” と言い切る面からしても、きっと彼女もそのことは
理解しているに違いないし、全ては聖杯を手に入れるための戦略なのかも知れない。

そしてそれを、傍から観た視聴者はきっと 『そんな理不尽なことがあっていいのか』 と思うのだけど、
(実際に私自身はそう感じました)でも、それは他でもなく最愛の娘であるイリヤが幸せに暮らすことの出来る世界を望むがための決意でもあるわけで、そう考えた時に全てが間違っているのかと聞かれればそれに答えるための回答を私はやはり持っていないわけです。


Fate3話 シーン7Fate3話 シーン8


ただ、それ以前の問題として、あの城から一歩も出してはもらえず、世界を見渡す権利さえ彼女には
与えられていなかったという事実に関してはまた話は別だったりもするわけで、つまりはそこが
先程述べたところの “その見方や、展開、それぞれの思惑の強さ次第で様々な結論が出る”
といった部分に直接繋がってくる部分なのではないかと思います。

そして、まさにそこがアイリスフィールという一人の人間として、また母親としての優しさでもあるのでしょう。

籠の中の鳥のように足枷をはめられ、大事に飼われ続けたがために彼女を待ち受けているこれからの運命。けれど、彼女自身は衛宮のために... そして何よりイリヤのためにこそ、その運命をも甘んじて引き受けるという揺るぎない覚悟を彼女は持っている。また、それはもしかすれば娘には同じ思いをさせたくないという固い決意なのかも知れない。

何より、その結末を辿るためだけに彼女はあの籠の中に留まり続けていたのだと。


 Fate3話 シーン9


けれど、セイバーからしてみればその自己犠牲の覚悟というものに酷く自己を投影してしまい
それ故に彼女自身もそれなりの嫌悪感に苛まれてしまうのかも知れません。

それはアイリがイリヤに対し考える “同じ思いをさせたくない” という感情部分にもリンクしていて
だからこそ、そのことに関してはセイバーも色々と疑問や否定的な思考を持ち合わせている。

ただそうであったとしても、その優しさというのは、もしかすれば衛宮とアイリのためにならないのかも知れないし、もっと言えば、彼らの願いに対して真逆のベクトルを持つ感情であるかも知れないわけで、そう考えると彼女たち3人の関係性がこの物語に大きな影響を与える可能性というのは全くもって否定できないところだと思います。


Fate3話 シーン10Fate3話 シーン11


そして、そういった “戦う理由のベクトルの違い” といった部分では衛宮とセイバーの間で必ず喰い違いが起きるのではないかと現段階で私は考えていますし、もしそうでなくとも、心情・思考の変化といった部分は彼らにもいつか訪れることになるであろう展開なのではと思います。

それは義務感を背負い続け、また何かに縛り付けられながら一つだけの道筋を辿ることの是非。

そこに疑問符が投げかけられ、彼らの前に複数の選択肢が現れた時に何を答えと信じて、彼らが
その道を突き進もうとするのか・・。そしてその道の先は誰にとって、何にとっての幸せな未来なのか。

そういった疑念を抱きながら、彼らの今後の動向と物語の展開を今は見守っていきたいなと思います。


まぁ、しかしながら下手な悪が正義として語られる展開はやはり観たくはないですかね。
といわけで、どんな因果があるにせよ雨生とキャスター組の願いが叶えられることだけは
ないようにと願いたいものです。




次回  「魔槍の刃



しかしながら、この作品の完成度は異常なまでに高いですね。
盛り上げ方は巧いし、引きも完璧過ぎでもう素晴らしいです。



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