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異国迷路のクロワーゼ

異国迷路のクロワーゼ #04~5 『水明かり & 迷子』 感想

 クロワーゼ5話 シーン1


“信じること” と “疑うこと” の是非。人と人との関係性。
ちょっとこの作品を見誤っていました。もう脱帽です。



相手を信じることに対しての肯定的物語

それは前話におけるアリスと湯音の出会いの話の中においても色濃く描き出されていた部分でもあって、そこで巻き起こっていた湯音の葛藤と、その結果彼女が導き出した答えというのは実に温かいものでもありました。

クロードがいくら彼女たちのことを悪く言おうとも、このパリの人々がいくら彼女たちに悪意を
持っていようとも、それはあくまで相手だけが抱いている印象であり、自分の価値観ではない。

だから湯音はアリスとも話をしてみたかったのだと思います。そして、何よりこれほどまでに
相手から自分に対し好意を寄せてくれるその心遣いを湯音自身が無駄にはしたくなかったから。
それも彼女らしい優しく思いやりのある心ゆえの行動なんですよね。
彼女の中ではまず全ては信じることから始まっていく。むしろ、信じなければ何も始まらない。


 クロワーゼ4話 シーン1


それはアリスに対してもそうだし、もちろんクロードに対してもそう。

故に着物を買い戻すのは無理だとアリスにいくら言われても彼女はそれを信じようとは
しないんですよね。その “信じること” と、この “信じること” では全く意味が違うから。
いや、信じるという行為自体では同じ意味なのかも知れないのだけれど、
でもそこに宿る意志の強さというのは全く違うはずだと個人的には思うんです。

云わば、それは 「いつかきっと約束を守ってくれるはず」 という前向きな意志から生じる信頼。
決して疑いから入り信頼するのではなく、信じることから物事を考える。


 クロワーゼ4話 シーン2


だからこそ、彼女は着物を受け取らなかったんですよね。

もちろん、買い戻せない額だという彼女の言葉はきっと湯音も信じていたのだと思いますけど、
でも別に湯音は着物をどうしても買い戻して欲しいと思っているわけではなくて、
何よりも彼女は着物が切欠で生まれたクロードとの信頼関係を大切にしたいと思ってる。

だからこそ、そのための代償として着物が返ってこないのであればそれも仕方のないことだと
踏ん切りを付けているのでしょう。もちろん、大切なものには変わりないわけですから
最終的には湯音の元に帰ってくるのがベストなんですけどね。それは湯音自身もきっと望んでる。

でも、そういった私利私欲よりも人と人との関わり合いを大事にする姿勢こそが多くの人々の
心にも響くわけで、そういう彼女の優しさがきっと周囲の姿勢をも変えていってしまうのかも
知れないわけですよね。というか、そう思わずにはいられないし、何よりそう思いたいし信じたい。


 クロワーゼ5話 シーン2


うん。信じたいんだけど、でも現実はそこまで彼女に対して優しくはなかった。
信じることは愚かなことだと言わんばかりの窃盗事件。
そしてそこから始まっていく、相手を疑うことに対しての肯定的物語

本当にもうこういう展開になった時は、どれだけ辛く鬱々しく感じたことか。。
ただの癒しアニメではないということを知らしめられた密かな二話連動での難しいテーマ性。

うーん、ちょっとこの展開は湯音にとってもかなりこたえる出来事だったのではないかなと
思いますね。異国の地での大きな揺さぶりに、何を信じていいのかも分からなくなるぐらい
彼女は戸惑っていたのではと...。


 クロワーゼ5話 シーン3


そして、何より辛いのは 「人を疑え」 というクロードのネガティブな言葉を、前回とは違い
彼女もまた後ろ向きな姿勢で信頼をしてしまったということ


パリの人は怖い。相手を信頼してはいけない。まずは疑わなければいけない。
そういった今までの湯音の思考とは全く正反対の思考回路。

彼女だって本心ではやっぱりそういう姿勢では居たくないはずなんですよね。
でも、自分の甘さが多くの人に迷惑をかける形になって、
さらにはあの少年にもある意味湯音は裏切られる形となってしまった。

きっと自分だけが裏切られるだけなら、彼女もまだ少しの平常心を保てたのかなと思いますけど
そうなじゃないことへ追い討ちを掛ける様に今度は道にも迷ってしまって。
もう湯音自身、凄い混乱をしていたのだと思います。それこそ、迷子とは言っても色々な意味で。


 クロワーゼ5話 シーン4


もちろん、湯音自身の信じたいという気持ちだって非難されるべきものではないんですよね。

でもやっぱり日本とフランスでは違うこともあるし、もっと言えば人と人とで違うことって
山ほどある。全員が湯音みたいな人間で、クロードやオスカーのような優しい人間なら
それこそ争いや奪い合いなんてものは起きないんです。だからこそ彼は “疑え” と言った。

クロードのあの言葉の真意ってそういうことなんじゃないのかなと思います。

だからこそ、実は湯音が迷子になって抱いた懐疑心っていうのも実は間違いだった
言えるわけで、つまりは 「もっと大人になって欲しい」 ってことなんでしょう。


クロワーゼ5話 シーン5クロワーゼ5話 シーン6


でも実際、現時点では彼らも湯音に大きなことを期待しているわけじゃないんです。
しっかり者とは言っても彼女もまだまだ子供だし、客人でもあるわけで、
それこそ本音を言えば 「大人になって欲しい」 なんていう風には思っていないはず。

ようは “もっと、俺たちを頼って欲しい” ってことなんだと思います。

分からないこと、出来ないことを無闇にやる必要はないし、そこまで頑張る必要もない。
それこそなにもしていなくたって、湯音はその存在だけであの工房に輝く明かりとなって
周囲を暖めてくれているんだよと。

周りの人たちとも少しずつ人間関係を深めていって徐々に疑うことも覚えればいいし
信じることも止めずに周りの人たちから順に信じていけばいいんです

全てを信じることも、全てを疑うことも、まだこの国に来て月日が浅い湯音にとっては
どっちも難しいわけなんですから。今までも幾度か言ってきたように少しずつ成長すればいい。


 クロワーゼ5話 シーン7


だからこそ、最後はクロードの背中を見つめながらある種の決心をつけていた湯音の姿は
どこか一回り成長したようにも見えて少し心が温まる嬉しさを覚えることができました。

そういったクロードたちの気持ちも受け取って、理解して、自分の未熟さも十分知れて。
そんな彼女もこれからですよね。また今回の出来事を通して友人も一人増えたわけですし
こうやって少しずつ異国の地でも繋がりの輪が広がっていけばいいなぁと思います。




次回  「烏龍



今回はあまり触れませんでしたが、あの少年の描写はまた考えさせられることが多くて
最後にああいう場面を挿し込んできたのはとてつもなく大きな効果を生んでいたと思います。

疑われるような立場の人間でも、あんな風に優しく笑うし、幸せを感じる瞬間がある。
温かい家ではないけど、温かさのある空間。
あんな風になりたくてなったわけじゃないというその主張に少し涙腺が緩みました...。




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