空深ク、彼方へ ―

第4世代型にして超高性能の新型IS。そして箒にとっても初めての専用機。
そんな大きな力を手にし、やはり彼女は少しばかり浮かれてしまっていたようです。

そして挙句の果てにはその力に自惚れ、守るべきものを見失う始末。
傍から見ればどう見たってそういう姿勢に見えてしまうわけで
あの過去の箒にまた逆戻りしてしまったのかと、多くの人がそう感じたことでしょう。
実際、私としてもああやって言い張る箒を見て、同じような印象を受けましたから。

ただ、箒も自らが言っていたように別に “見失っていたわけじゃない” んですよね。
彼女にとってみれば守るべきものというのは他でもなく “一夏” だったわけで
それは出動前に彼女が口にした 『出来る範囲で支援をする』 という言葉からも
分かるところ。

だから決して、箒が力の使い方を誤ってしまったとか、その意味を履き違えてしまったということではないわけなんですよ。

しかもそれは彼女が今までずっと望んできたことでもあるわけで、何かある度に
自分が専用機持ちでないことを呪い、一夏の力になれないことを嘆いていた。
そんな彼女だからこそ、初めて手にした力でやっと一夏の力になれると知れば
そりゃあ舞い上がるのも無理はないよなぁとも思うわけでね。

それに、箒にとって守るべき対象っていうのはいつだって一夏だったわけで、きっとそれは
密漁船などという無法者などと同じ天秤に掛けられるものでもなかったはずです。
だからあの船がどうなってもいいと思うことは確かにどうかと思ったりはしますけど
でもそんな箒の気持ちもやっぱり分かってやりたいんですよね。

一夏との繋がりを大切に大切にしてきた彼女だからこそ、彼の身を守り
その行動を支援するために全力を注ぐだけだと。

その気持ちに間違いはなかったと思いますし、むしろ正しかったと思います。
特に実践と言う生死を分かつ場所に立っているだけに。


　


でも一夏はそうじゃなかった。彼は “守るべきもの” という括り自体を持ってなくて
常に危機的状況にある者に全てに対して、救いの手を差し伸べようとしてしまう。

逆にそういう括りがあるとするならば、それは一夏が守れるもの全てになるわけで
彼にしてみれば “守るべきもの” っていうのはいつだってどこにだって存在している
ということなんだと思います。

そして何より、それこそが彼の強さの秘訣でもあり、信念でもあるわけで
そこが彼の主人公らしい･･･ というかカッコいいところにも繋がっていて
まぁモテる秘訣にもなているんだなぁとは思います。まさに正義のヒーローですからね。


　


そしてそんな一夏の姿は幼少時代から全く変わってはいなくて。

同じ道場に通っている箒が強いことはきっと誰よりも彼が分かっていたはずなんだけど
それでもあの時、悪口を言われ続けていた彼女は紛れもなく
彼にとっては “守るべきもの” であり、無論、大切な存在でもあった。

だから殴る。別にあのいじめっ子たちに力を誇示したいからとか
そんなちんけな理由じゃなくて、誰かが傷つくのを見てられないから。

そういう姿勢っていうのには、彼がすぐに手を出さずに一度止めるよう諭したところにも
感じとることができますよね。悪は傷ついてもいい、殴ってもいいということではなく
出来る限り誰も傷つかないで全てを終えたい。そんな彼の優しさ。
(ただそれでも、あのいじめっ子たちは止めようとしなかったから殴られたわけで。)

そして最後には 『リボン似合ってたよ』 とフォローするのもまた気遣いの心が
素晴らしいというかね。とにかく、そんな信念を持った彼もまた凄いのは確かで
今回の彼の行動だって間違いではないんですよ。

どっちもどっちという言い方とはまた違うんですけど、言うなれば
どっちの行動も責められるようなものではなかったと。

まぁ言ってしまえばどちらともの経験・実践不足、または連携不足が招いた
起こるべくして起こった事故とでも言うのかな。しょうがなかったんですよ。


　


それにね。そんな一夏の強さっていうのは誰にだって真似できるものじゃないんです。
きっと箒がいくら考え、悩んだところでそこに辿り着くことは出来ないと思います。
それほど、誰かれ構わず救うということは難しい。
だから誰も彼女に対して責めたりしないし、一夏のようになれなんて言わないですよ。

けどね･･･。そんな彼の姿を見て、また昔の変わらないそんな彼の姿勢も思い出して。
箒だって得るものはきっとあったんじゃないかなと思うんです。
彼女にとって何が大事で、そして守るということはどういうことなのかということ。
全ては再認識する意味も含めてね。

そしてこういった一連の流れは、改めて彼女が今、何をすべきなのかということも
示していたように思います。


　


たたそれでもやっぱり箒一人じゃ前へ進めない状況ではありましたよね。
肉体的な意味でも、精神的な意味でも、戦力的な部分でも。

だからこそ、そういった全ての部分をサポートして支えてくれた鈴を始めとした
他の4人たちは凄くかっこ良かったですし、見ていて ｢いいなぁ｣ と思えました。

普段はいがみ合っていても、彼女たちが仲間であることには変わりなくて。
そんな彼女たちの姿にはもう凄く燃えましたし
やっぱり、応援したくなってしまうのも必然かなと思います。

それに、この戦いを終えた頃には箒もまた一つ成長することが出来るような気もしますし。
何ていったって、彼女たちはこれから多くの守るべきものを懸けて
戦いに挑むわけですから。それはもちろん一夏の存在や、彼の努力だったり
もちろん世界という大きな括りもそうだし、個々人が持つ専用機持ちとしてのプライドもそう。

みんなで力を合わせて、全てを守り切って。
互いが互いを高め合って終わりを迎えられればいいなぁと思います。


とにかく次回は最終回。今回の戦闘描写も迫力ありましたし次も非常に楽しみですよ。
そして恋の行方がどうなのかも気になりますしね♪

結局は一夏を千冬さんの手から誰も奪えずに終るのでしょうけど(笑)
まぁ色々な期待を膨らましながら、残る1話の放送を待って、楽しみたいと思います。

確か再来週でしたっけね？
制作の皆様もラストスパート頑張って下さい！！




次回　 「ユア・ネーム・イズ ～君の名は～」

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