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フラクタル #08 『地下の秘密』 感想

 フラクタル8話 シーン1


誰かの変わりになる人なんて世界中どこ探したっていやしない。
だからこそ出会いは温かくて、素晴らしいんだよ。



「私の変わりはいくらでもいる。」

そうクレインに告げたフリュネ。

この台詞を聞くと某アニメが思い出されるところですが、本当にそうなのでしょうか?
クローンがいるから私の変わりはいくらでも効く。これって正しい考え方?

答えは至ってシンプル。どう考えたって “NO” でしょう。

だってじゃあもし、彼女が死んでしまったとしたらクレインは何とも思わないのですかね。
代わりがいるし悲しくもない。フリュネのクローンがいれば万事OK。
そんな風に彼が考えるとでも?
どう考えたって絶対にそんなことはないはずです。

どういう理由があったにしろ、どういう意味があったにしろ
彼と出会ったフリュネはあのフリュネだけで、他の誰でもないわけですから。
そしてそれは、治療室で出会ったあのフリュネにしてもまた同じ。

人はどんな形にしろ出会って、会話を交わし、心を交わし、仲を深め合って
友達にしろ恋人にしろ家族にしろ色々な形の絆を築きあげていく
わけで
だからこそ、そうやって作り上げてきたものや、その人それぞれの過程というものに
代わりなんてものは一つだって存在しないんです。

故に、ああいうことを行っているバローを含めた僧院の人間たちに対しては
気持ち悪いという印象しか抱けないし、許せない。
フリュネをただの道具として扱い、フリュネのクローンとして生まれた彼女たちの命をも
まるでゴミ屑のように扱う。

だから人を人として扱わない彼らこそがまさに人の形をした人ではない
気色悪いものに見えてしまうんです。こんな闇の部分を見せられたら
もう誰だってフラクタル側に心があるなんて思えないですよ。仕方がない。

というか娘の処女膜検査?を “見守ってあげる” とかもう下衆ですね。本当に虫唾が走る。


 フラクタル8話 シーン2


もちろん、クレインだってこの旅が始まるまでは、そういう出会いや温かみという
ものに対してよく分かっていなかったと思いますよ。
ドッペルを使った人間的なものとの交流にある種の違和感みたいなものは感じていた
わけですけど、それでもその違和感が何なのかはよく理解できていなかった。

でもああやってフリュネと出会って、ネッサと出会って、スンダと出会って。
彼はその温かみがどれだけ人にとって幸せなものなのかということを
学びとったんです。そしてそれは前回でも彼が自分の口からハッキリと示した意思でもある。

だから彼にとってみれば、人との出会いはまさに “特別な出来事” でもあるわけですよ。
ドッペルからは決して得ることの出来ない、特別な感受性。

そりゃあ私たちの世界観から見れば人と出会って会話したり遊んだりなんて当たり前だし
むしろそれがなければ買い物の一つすら満足に出来ないわけで 「何をいまさら」 なんて風に
思ったりする方もいるかも知れませんけどね。

けどそれが “当たり前でなくなってしまった” 世界だからこそそのことに気づけない。
フラクタルという文明の発達が人間の退化を促してしまった。
そして自らが生きる努力を放棄した結果がこの有様でもある。
だからかな。。もうフラクタルに肩入れする気持ちはほとんど残ってないです。


 フラクタル8話 シーン3


というかこのフラクタルシステム自体がもうなんだかゲーム感覚にしか見えないんですよね。
好きな時に色々遊んだり、ネットサーフィンしたり、ドッペル出したり
不安感も焦りも感謝もなく、ただただダラダラと時間を過ごすだけ。

生きるってそういうことじゃないんじゃないかなって思っちゃうんですよ。
その時、その時を一生懸命に生きろってわけじゃないですけど
努力して頑張って。報われないことだってそりゃああるけどそれでも前を向いて。
だからたまに素晴らしい出来事に出会えればそれは素敵な思い出にもなるし
じぶんにとっての宝物にだってなる。

“辛かったけど、頑張ってよかった。” そう思えることって凄く重要だと思います

「じゃあお前はそんなご立派な人生歩んでるのか?」 なんて聞かれたら
即答は出来ないし、頷けないですけど。
でも人よりは~とは言えなくとも、人並みには頑張って生きてきたつもりです。
だからそのお陰で得ることの出来た感動っていうのはやっぱりありますよ。

そして多分、この時のフリュネもそうだったんじゃないのかなぁって思うんですよね。
人として扱われずに、クローンと同じ存在だと思っていた自分を
“特別だ” と言ってくれる人がいた。それがどれだけ彼女にとって嬉しかったことか。

ただの鍵でもなくて、ただの友達でもなくて。
その言葉はきっと彼女の心に染み渡ったに違いないはずです。


 フラクタル8話 シーン4


さらにそれは、鍵の候補として存在することしか許されていなかった
フリュネのクローンにとってもきっと同じで。

クローンも一人の人間だし心もちゃんとある。
出会いは温かくて素晴らしい。


このシーンは溢れんばかりにそのことを表現していたのではと思います。
もうこの時の彼女の笑顔は本当に印象的でした
彼女が感じられたちょっとした幸せ。クレインにも届いていればいいなぁと思います。
(出来れば生きてて欲しいですけどねぇ・・ さすがに無理っぽいですし。。)


うん。これでもうクレインが進むべき道は決まったのかな・・・。
まぁ前回の彼の発言でほぼ気持ちが固まっていたのは分かりましたけど
こういう事実を知ってしまったことでもう引き返せなくなったというか。
そもそも引き返す気すらないのかも知れませんけどね。

それに1話でいとも簡単に両親のドッペルを消して見せたクレインの態度と
フリュネのクローンが消されることを必死に防ごうとしたクレインの姿が
比較的に描かれていた
のはかなりよかったです。

これは完璧な反フラクタルの姿勢として捉えることができますから。
フラフラし続けていた彼ですから、行動で示してくれると安心感も持てますし。


物語りも相当な佳境に差し掛かり、凄まじい展開を見せてくれていますが
残り3話でどこまで描き、どうやってその反フラクタルの姿勢とこの戦いに
落としどころをつけてくるのか。

かなり楽しみです。綺麗に纏めてくれるといいなぁと思いますが。期待ですね。


 フラクタル8話 シーン5


あと最後になりますけど、エンリの立ち居地って凄く重要だったんだなぁと
ここにきて思い知らされました。

見た目や外見だけ・・ ましてや第一印象だけでは何も分からないということを
彼女の心情の変化を使って物凄く色濃く描いていると思いますし。
やっぱり、印象だけでその人の本質なんて計り知ることは出来ませんからね。
直接会って話して初めて分かることもある。

エンリがクレインのことを知ろうとして、心配しているところを見ていると
やっぱりこうであるべきだよなぁって感じます。
もちろん、スンダにおいても彼らの身を案じているのは同じですけどね。

まぁだからようするに、私はもう完璧にロスミレ派の立ち居地にいるってことです。
いや違うか・・・。グラニッツ一家派と言った方がいいのかな。

だってアラバスタはなーんか嫌ですし(笑)




次回  「(未公開)」



っていうかこういう設定なら何でアニメはフリュネとネッサの髪の色を
敢えて原案とは変えて違う色にしたんでしょうね。そこは謎です。



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Comment

いい事、書いてますね。共感します

>名無しさん

ありがとうございます。
共感して頂けるのは大変嬉しい限りです。
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