空深ク、彼方へ ―

まどかは優しい子ですね。みんなが幸せになることを心から望んでいて
そのために自分は何が出来るのかということを必死になって考えている。
そしてそうなることが最善なんだと全くもって疑っていない。
こういう子ばかりが世に溢れていれば少しは争いも少なくなるのかなぁなんて思ってしまいます。

でも現実はそんなに甘くないのが世の常というものでもある。
彼女の考え方も一つの正義ではあるのだけれど
それはやはりどこまでいっても主観的な考えでしかないんです。

特にまどかの場合は “魔法少女ではない” という他の3人とは決定的に違う背景があるわけで
彼女がどうこう言ったところで分かり合うということは極めて難しいことなのだと思います。


　


それに魔法少女という存在は自分の人生をかけてまで戦うことを選んだ人間です。
故にそれ相応の信念や貫きたいものというのは誰しもが抱えているはずで
それはさやかにとってもそうだし、ほむらにとってもそう。もちろん杏子にとっても。

だからこそその信念を邪魔させるわけにはいかないんです。そして争いが起こる。
これは現実的な話でもよくあることだと思います。
それこそ、友人同士の口喧嘩もあれば宗教戦争のような大規模なものまで。

もちろん、当事者同士で折り合って、争わずに済む方法というのもあることにはあるのでしょうけど
基本、それぞれは自分が信じる正義のために争いを起こしてまでそれを貫こうとするわけで
そういった理想的な考え方(つまり、まどかの考え方)はなかなか実現したりはしないものなんです。


　


言ってしまえばまどかは子供なんですよね。だからこそ直ぐに理想論を振りかざしてしまう。
それは優しくて純粋無垢だとも言えるのでしょうけど、でもそれじゃあいつかは壁にぶつかる。

彼女のそんな姿勢を見た視聴者の中には、結構イラついた人も多いんじゃないかなぁ…。
まぁ私もその内の一人なんですけどね(苦笑)
でもそれってそんな簡単な話じゃないってことを社会を通して学んでいるからなんですよね、きっと。

だってまどかの言うとおりの結末を迎えられればそれに越したことはないわけで
むしろ彼女の必死の訴えを支持する方が明らかに希望に満ち溢れていますからね。

そういったところを考えていくと、この作品は本当に世の不条理というか
決してうまくは回らない社会というものを克明に描き切っていると思います。
ご都合主義なんて言葉は完全に排除した作品。
こういうアニメは本当に色々考えさせられますし、惹き込まれるので個人的には好きですね。
最終的に希望の光も見出してくれる展開になってくれれば、個人的には言う事なしです。

ただ、1クールに一本もあれば十分なアニメではありますけど…。


それとやっぱり幼い子供には見せられない作品かなぁ…(笑)
それは描写的な問題ではなくて、それ以前にストーリーや話の構成的な部分で。

まぁだからこその深夜枠なわけであって、そんなことは言うだけ野暮ってなもんですかね。


　


で、話は戻りますけど、結局争いは避けられないことではあるんです。
それはもうどうしようもないことで、受け入れなければいけないことでもある。

でもだからこそ、それぞれがそれぞれの考え方で動いていて正義を持っているのだと理解出来れば、思想的な違いは残ったとしても、肉体的な争いはもしかしたらなくせるのかも知れませんね。
(それも理想論だろという突っ込みはご容赦を…笑)

ただ杏子は生かしておきたい使い魔を殺すさやかが邪魔なわけで
さやかはそれを邪魔する杏子が邪魔なわけですからね。。
まぁやっぱり争いは避けられないでしょうね…(汗)

けれどもう一つ。争いを止める方法があるのだとすればそれは同じ目的を共有することでしょう。
そしてもしかしするとそれは、ほむらの言っていた
“ワルプルギスの夜(ヴァルプルギスの夜)” であるということになるのかも知れません。

必ず食い止めなければならない敵。そして力を合わせなければ敵わない敵。
それは1話のアバンを見ても明らかなわけで、それが一時的な休戦の切欠になってくれるのかもという期待は少なからず持っているところです。(けど、そううまくいくかなぁ…汗)

まぁその辺りについては、ほむらにも色々と考えがあるようでしたし
彼女にも期待して一まずは見守りたいところですね。ほむほむマジ頼りになる。


　


“契約とは死そのもの” それを知った彼女たちは―


まぁこれに対しては本当に驚きました…。

いや、前回の感想でも書いたように、魂を抜き出して作ったものが
ソウルジェムだというのは頭にあったのですけどね。

でもソウルジェムそのものが本人そのものとまでは思いもしなかったですし
何より改めてこう映像で表現されると、そのショックはかなり大きいですね。。

しかしこの事実を知っていたのはほむらだけのようでした。
杏子も全く聞かされていなかったようで、キュウベェは契約時にこのことは明かしていないみたい･･
(あの白い小僧、マジで邪悪過ぎる…。)


　


だからこそ、ここで重要なのはそれを知ったさやかと、杏子という相容れない二人が
どう考えどう動くのかということになってくるのでしょう。
そしておそらく、こういう事実が明らかになってきたことで、もっと深く知る必要があるにも関わらず
彼女たちに限っては全く知らない事実がたくさん出てくるのではないのかなと考えています。

それこそ、以前に少し考察してみたソウルジェムとグリーフシードの関係であったり。
(おそらく、ソウルジェムが黒ずんでしまえば死んでしまうというのは正解なのでしょう。)

ただそれをキュウベェが簡単に話すとも思えませんし、だとしたらそれはほむらが伝える役目を担うのかなとも思いますが。。うーん、どうなることやら…。


まぁどちらに聞くにせよ、その事実を知ってしまった二人の身と精神的な部分はかなり心配です。
確かにキュウベェの言うことは理解もできますけど、それとこれとは話が全く別ですからね。
便利だからとかそんな問題じゃないだろうと。
魔法少女になること以前に自分が人間ですら、生き物ですらなくなってしまうんですから
それは誰だって拒絶反応を示して当然ですよ。

それに魔法少女になれば死ぬと言われれば誰だって一度は考え直すはず。
それを伝えないとかどんだけ外道…。

そしてこの事実を知った後でも、さやかは “後悔なんて、あるわけない” と言えるのかどうか。。
残酷過ぎる事実ですけどね。でも前を向いて欲しいな。なんとか、頑張って。


　


取り返しが付かなかったかも知れない間違いから
まどかは何を学んだのか―


ああもう本当に問題が山積みだ…(涙)

彼女にしても本当に悪気はないんですよね。

お母さんの助言を聞いて、それがさやかのためと思って、嫌われることも誤解されることも
全部承知でああいう行動をとってしまった。

まどかが口を何も挟まなければいいというのももちろんあると思いますよ。
それはほむらが言ったことと同じように。
魔法少女じゃない彼女が魔法少女間での争いに首を突っ込むもんじゃないし
突っ込んでいいものでもない。

だから彼女はきっとさやかからも離れるべきなのでしょう。
一度、全てを清算してしまった方がいい。マミさんのことも、さやかのことも、ほむらのことも。

でもそれがまどかには出来ない。まさに有難迷惑というか、優しさが仇になるというやつですね。
だからこういう経験をしたとしても、彼女はさやかから離れるということはしないのでしょう。


だからこそ、今回のことについて彼女が何を学んだのかということが一番大事なんです。

『背負ったものが大きくなるほど、下手を打てなくなっていく。』

そんな中であっても、まどかに何か出来ることはあるのか。
そういう苦渋の選択を掻い潜って、辛い経験をしていく内に彼女もまた大人になっていくのだと思います。

とりあえず、それが分かるのは今後の彼女の行動次第ですから
今はあまり彼女を攻めずに見守ってやりたいなぁという気持ちで一杯です。



しかしキュウベェは魔法少女を利用して、魔力を蓄えているんですかね。
もしくは魔法少女の契約時にその該当者から生気を吸っているのか。。

まどかをあれ程まで執拗に勧誘する理由は…？。
もう本当に黒過ぎてヤバイですよあいつは。。
唯一の頼みの綱のほむらも何を考えているのかイマイチよく分からないですしね。
とりあえず全ては “まどか” が鍵を握っているということだけは分かりましたが。


とにかく物凄く重要な複線が張られた回だったように思いますし
今後も全く目の話せない展開になりそうです。

うーん、凄いなこの作品。凄過ぎる。




次回　 「本当の気持ちと向き合えますか？」



しかし、さやかが死んだとか言い出した時は心臓が止まるかと思いました…。

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