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放浪息子

放浪息子 #04 『私の名前をあげる ~The sound of your name~』 感想

 放浪息子4話 シーン1


誰だって自分のために、自分らしく生きたいんだ。
それは決して悪いことじゃない。けれど―



“誰かのためより、自分のために生きたい。” こういう願望は誰だって持っているはずです。
何を隠そう自分のためにある、たった一度の人生なわけですからね。
そう願うことは決して悪いことではないし、むしろ必然的だとも言えると思います。

もちろん、人生なんて大それたものではなく、日常的なことや些細なことであってもそれは同じ。
そして今回のことで言えば、それは修一の手掛けた脚本についても同様のことが言えるわけです。


修一自身はさおりんに指摘されるまで自覚があまりなかったようでしたけど
あの倒錯劇の内容、ロミオとジュリエットの話は全て自分のためのものになっていたんですね。
まだ配役すら決まっていない状態であるにも関わらず、
“ロミオは自分で、ジュリエットは高槻さん” そんな空想で物語りを書き綴っていた。

そしてそれには修一の願望や強い想いが乗せられていて
彼の望む世界がそのまま描かれていたわけです。
だからこそ、この劇は彼にとってただの劇にはなり得ない。

それはありのままの自分を表現できる舞台だから
そしてよしのにも受け入れて欲しい世界だから

修一の、修一による、修一のための劇。
それは誰にも壊されたくないものであって、絶対に成功させたいものでもあるはずです。


 放浪息子4話 シーン2


でもそれだけではないんですよね。
それは先程も言ったように、その気持ちを届けたいと思っている相手が彼にはいる。

だから必死にその想いを伝えてみた。同じ想いを共有して欲しかったから。
そういう意味合いでの劇だということを受け入れて欲しかったから。
それ自体がちゃんとよしのに伝わったのかはちょっとまだ分からないですけど
でも彼女も 『頑張ろう!』 と応えてくれたわけで、今はまだこれでいいのかなとは思います。

とにかく、これで “修一のための劇” から “二人のための劇” に変化したわけで
この劇をやり遂げた後にどういう心境の変化が彼らに訪れるのかは凄く興味深いところです。

もしかするとその時こそ、修一がもう一度、よしのに対してその想いを告げる機会に
なるのかも知れませんね。そうなれば凄くいい話になるとも思いますし。


 放浪息子4話 シーン3


でもそうやっていい方向に向かっていく人がいるということは
そうじゃない方向へと向かっていく人がいるということの暗示にもなり得るわけなんですよね。

そして今回、その立場に立つ子こそが他でもない千葉さおりなんです。


修一が自分のためと思って脚本を書いたことと同じように
さおりんだって自分のために倒錯劇をやりたかった。

“私が二鳥君にジュリエットをやって欲しくて、これを書いたように―”

そんな彼女の思いだって決して悪いものじゃない。
自分がそうしたいと思うのは当然のことで、修一とその願いの大きさは変わらないんです。

でも自分のためにと動けば、そこで擦れ違いが起きてしまうのも当然あることなんですよね。
足並みが揃わなければその願いが届かないことももちろんある。
修一の場合はよしのという理解者と共に再び歩き出そうとしているわけですけど
でもさおりんの場合は違う。足並みを揃えて欲しいはずの相手が気付けば隣にいない。

そうなればもう違う方に足並みを揃えるしかないんです。
もしそれが感情のコントロールと呼べるものならば、きっとそうなんでしょう。きっと。


 放浪息子4話 シーン4


けれど彼女はそれが出来ない。真には 「出来るじゃない」 と言われはしたものの
それはそんな簡単なものでもないんです。

どちらかと言えば彼女は本当に感情のコントロールが出来ない人間なんだと思います。
だからこそ彼女は常に直球勝負なんですよ。細かい調整なんて自分じゃ出来ない。
変な細工はせずにいつだって自分の気持ちを真っ直ぐに、時には暴投気味に放っている。

それがどういう風に相手から見られるかはともかくとして
そうやって彼女も自分のために、自分らしく生きているんです


だからこそどうしても、彼女も報われて欲しいと思っちゃうんでしょうね。
さおりんだって生きて生き辛いなか、一生懸命生きている。
嫌がらせとかじゃないですよ。彼女なりに懸命にもがいてる。

その様をこうやって見せつけられて、どうやって彼女を
嫌な諦めの悪い女だなんて風に思うことができるのか。。少なくとも私には絶対に出来ない。


彼女だって分かっているんです。修一がよしのと二人で歩むことが最善なんだと。
それが大好きな修一が望む一番の形で、自分が引けばいいだけなんだと。
でも彼女だって諦めたくない。呪いを授かってまで共に歩みたい人がいるんです。

そして何より、この劇が最後のチャンスなのだと自分自身も理解しているのでしょう。
だからここまで必死にもがく。嫌いな教会で神様に救いを求めるまでに必死に。


この倒錯劇が終ったあと、どういう結末をこの三人が迎えるのかは分かりませんけど
それぞれがこれで良かったと思える最後になって欲しいなぁと思いますね。

もちろん、それが凄く難しいことだというのは承知の上です。
でもそう願わずにはいられないのです。

先程は修一とよしののグッドエンドであればいい話になるなんて言いましたけど
それがさおりんに対してなんの救いも与えられない終わり方なのなら私はそれを望みません。
それぞれがこれから歩むべき道をしっかりと見据える。
そんな終り方になってくれればいいなぁと今は感じています。

まだまだ先のことではありますけどね。


 放浪息子4話 シーン5


よしのが抱える辛さや不安の膨張と縮小―


また、前回に引き続き今回も、よしのの体の変化に伴う心の揺れという部分が描かれていました。その中でも特に印象的だったのは作中冒頭、よしのが水中でうずくまるこのシーンです。

「大人みたいで羨ましい」と言われたことでとった彼女のこの行動は
まさに “大人なんかになりたくない” という心の叫びの表れだったと思うのです。
その様はまさに、性別も把握できない母体の中で息を潜める赤ん坊のように

もしかしたら、自分が女だと感じられずにいた昔に戻りたいとさえ思っているのかも知れませんね。何も考えずにいられたあの頃に。


 放浪息子4話 シーン6


それでも修一と一緒に出掛けた時や特殊な下着のことを考えている時なんかは
そういった鬱々とした感じは全くせず、むしろ希望を持って心を躍らせているようでした。

彼女の場合、やはりどうしても辛く不安に感じてしまう場面というのはあると思いますけど
そういった気持ちをこうやって晴らすことも出来るわけでね。
それは彼女自身の持つ強さという部分も要因の一つとしてあるのでしょうけど
こういう安息の場があるというのも凄く励みになる部分なのではないかなぁと思います。

それは修一との二人で創る特別な空間であったり、ユキさんという理解者の下であったり。

そういった色々な人や場所に助けてもらいながら
彼女にもこれから頑張って生きていって欲しいなぁと思います。乗り越えて欲しいなぁと。


 放浪息子4話 シーン7


それと最後になりますけど、真は本当にいいキャラ、というかいい子ですね。
修一も、よしのも、さおりんも、佐々ちゃんも彼に救われてる部分は
結構大きいんじゃないのかなぁと思います。本当にいなくてはならない存在だと思いますよ。

雰囲気や口調はゆるくて、ふわっとした感じですけど
凄く色々な人のことをしっかりと見ていて、凄くうまくみんなを包んでいる。

なのにも関わらず、そこまで主張してこない感じがまた素晴らしくて。

これからも彼に頼ることになる場面は多いと思いますし、頑張って欲しいですね。
もうみんないい子過ぎて、本当に泣けてきます。というか泣いた。


次回も本当に楽しみです。




次回  「夏のおわりに ~Long,long shadow~



ストラップについては、多分、独自性があるのは悪いことじゃないってあのお姉ちゃんの友達は
修一に言いたかったんだと思います。…多分。。



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