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放浪息子

放浪息子 #05 『夏のおわりに ~Long,long shadow~』 感想

 放浪息子5話 シーン1


放浪し続ける修一が見つけた一つの答え。
“付き合ったりしたりとか、それだけの好きじゃないんだ―”



今まで色々な経験をして、たくさんのことを学んで、自分の気持ちが何なのかということに
一生懸命になって悩み続けていた修一。

そんな彼も、やっぱり自分が抱える “好き” という感情がどういうものなのか
正確に把握できていなかった
ようでしたね。
彼がよしのを想う気持ちが嘘偽りのないものだということだけは確かなのだけれど
じゃあそれが具体的にはどういう気持ちからくる好きなのかと聞かれるとなかなか答えられない。

それは1話で彼が “(好きだという感情を)分からなくさせちゃったのは、僕だから”
言っていたことも含めて考えると、余計にそう思えるところで
よしのに二度も告白したのはいいものの、彼自身もまだその気持ちはふわふわと宙に浮いていて
その実態というものを凄く掴みかねていたのだと思います。

もちろん、そんな彼が悪いということは決してない。
だって人を好きになるって大体がそんなものなんじゃないかなと思いますからね。
ハッキリと即答できる人の方がきっと少ない。

それに中学生という時期を考えれば、むしろ彼ぐらい色々と考えて、頑張って人と向き合っていれば、それだけで十分立派なことだと思いますし。
きっと色々と悩んでいることが多い分、考えることも多くなって
普通の中学生よりも少し大人に近い位置にいるのでしょうね。

そしてそれはきっと、よしのやさおりんについても同じことで。
もっと気楽に(と言うのは何か違うかも知れませんが)生きてもいい時期なのに
そうは出来ない現状が、彼らをここまで成長させているのでしょう。


 放浪息子5話 シーン2


でも修一は今回、やっとその “好き” という感情の理由、或いは答えというものを
自分なりにしっかりと導き出すことが出来たわけです。

彼はきっと、自分を愛してくれるとかそういう恋愛的な感情を注がれるよりも
自分のことを認めてくれて、守ってくれるという男性的な愛で支えてくれる人
何よりも欲しているのだと思います。

そしてそれは彼が女性的な心を持っているからということが凄く影響していて
また少し普通の人と違う感受性を持っているからということも大きく影響しているのでしょう。

修一のような悩みを持っている子というのは何よりも支えが必要なのだと思いますし
そう考えてしまうのも凄く必然的なことなのかなと思います。
ただそうなると、そういった感情を 「それって愛なのか?」 と疑問に思う方もいるかも知れませんが、それが修一の考える “好き” という言葉の定義であるのなら、それはそうなのでしょう。

人の感情に一般的なんて言葉は意味を持たないと個人的には思いますし。
それは誰かが決めることではないし、決めていいことでもないはずですから。


 放浪息子5話 シーン3


そしてだからこそ修一はよしのに惹かれるし、彼女のことをしっかりと好きだと言えるんですよね。

よしのにとっての “好き” という感情がどういうものなのかというのはまだ分からないですし
本人も告白されたあの日から相変わらず分かっていないのかも知れませんけど
それでも、よしのは修一のことを大切に思っているし、しっかりと支えてくれている。
修一にとって好きになる理由というのは、きっとそれだけで十分なのだと思います。

またそういった部分で言えば、
誰よりも先に 「何が?」 と怒りを露わにしたよしのが凄く印象的で。

人のことを何も知らない癖して、平気で 「なるほど。女装好きの二鳥君。」 なんて
言ってみせたあの男性が本当に許せなかったのでしょう。
何より修一のことを馬鹿にされたようにも彼女は感じたのかも知れません。

それにあの発言は、修一たちが大切にしてきた空間に土足で立ち入ったようなものでもあって、そう考えると、やっぱりよしのにとってみればあそこまで怒るのも無理はないのかなと思ってしまうところ。

そしてそれはちーちゃんの言動に対してももちろん、同じことを感じていたのだと思います。


 放浪息子5話 シーン4


だからそういったよしのの修一に対する姿勢というのは本当に頼もしくて
修一にとっても凄く心の支えとなっているんでしょうね。
そしてそれは多分、今の修一にとってすれば他の誰でも変えは効かないのでしょう。
また、そういった彼の感情こそが彼なりの “好き” という言葉の意味。

そしてあの自答のシーン。

「あんな風に怒ってくれる高槻さんが隣にいてくれる。
高槻さんが隣に居てくれれば、僕は本当に大丈夫になれる。」


もうこの言葉だけで、全てが伝わってくるような気さえしてしまいます。
今の彼に何が必要で、彼が何を欲しがっているのか。
そしてその “何か” が何なのかを彼は自分自身で見つけ出した。

小学生の頃から辛い思いをしてきて、その答えが何なのか探すために長い間ここまで流れてきたけど、やっと彼は見つけることができたんでしょうね。


 放浪息子5話 シーン5


だからこそそれは固い一つの信念や決意になり得る。
長い時間をかけてやっと辿り着いた場所だからその心は揺るがない。

「夏の終わりに、僕は。今度こそ、ちゃんと終わりに出来るって思った。」

もうきっと彼の心は一つに決まったのだと思います。
それは誰が何を言ったってきっと意味を成さないほどに固く、そして強く。

またあの線香花火と打ち上げ花火のシーンでもそれを強烈に暗示していたように感じられました。

そう考えると、今回の一連の出来事は修一にとって大きな分岐点になったのだと思いますし
彼にしてみれば逆に嬉しい出来事だったのかも知れませんね。


 放浪息子5話 シーン6


きっと千葉さおりの想いはもう届かない。それでも―


ただそうやって修一の気持ちが方向性を示したAパートのラストで
こういうドラマが展開されるともう本当にさおりんが可哀想で。

ぶっちゃけ、ここのAパートラストのシーンで涙腺が緩んで
Bパートでのさおりんの決意を見てかなり泣いてしまいました。。


もうね、、演出というか展開が残酷過ぎる。少しだって彼女に笑わせてあげたっていいじゃん。
笑えるような出来事があったって別にいいじゃん。さおりんが一体何をしたって言うんだ。。
前回の感想でも書いたとおり、彼女が修一と共に歩みたいと想う気持ちだって
それは修一のよしのに対するそれと差なんてなくて、同じくらい強い気持ちなんだよ。

それでも彼女は報われない。それが本当に悲しく思えてしまって。。

でもそれが恋というものならば、それはきっとそうなのでしょうね。
全ての人間が思い通りに運べないものだからこそ、幸せな気持ちになれる人もいれば
陰鬱な気持ちになってしまう人もいる。
誰のせいとか、何がいけなかったとかそんな簡単な話じゃない。

むしろそういう責任転嫁が出来れば凄く楽なんでしょうね。薬屋にも修道士にも通行人Aにも
全てを押し付けて、いっそ全部世界が悪いことに出来てしまえばそれほど楽なことはない。

だから彼女は自らの手で脚本を書き換え、もう全てを壊してしまおうとしたのだと思います。


 放浪息子5話 シーン7


でもそういう行為が惨めなことだと彼女は気付いた。
何もかもを自分の好きなようにできるなんてことは凄く浅はかな考えだと彼女は知った。

普通だったらね、、ここまで強く生きていける子なんてそうそういないと思います。

“劇の主役にはなれても、自分が思い描いた人生という物語の中では主役になれない”
そんなことをまざまざと見せつけられて、最初は自暴自棄になってしまったけど
それでも前を向いてロミオに成り切ると心から決めた。

もうそれだけで彼女がいかに強いのかというのが凄く伝わってくるんです。
そしてだからこそ、彼女のあの時の姿は凄く輝いて見えて、あんなにもカッコ良かったのでしょう。

きっとああいうさおりんの姿を見て真や他の友人も成長していくんでしょうね。
そう思うと、それはそれで素敵なことだなぁとも思えますけど。

でもさおりんからしてみれば、きっと修一だけについて来て欲しいのでしょうし
そう考えると逆に酷だなぁとも思えるところでもありますね。
今回の話からすれば “その願いはもう叶わない” と言われていたようなものだと思いましたから。

ただそうであってもきっとさおりんは修一を諦めようとはしないと思いますし
だからこそ彼女がロミオを演じ切り、文化祭を終えてみて
どういう心境の変化を持つのかが今後の鍵になるのかなぁと今は感じています。


まぁとにかくまずは文化祭での劇ですね。これも一筋縄には終りそうにないですし
どういう展開が待っているのか凄く楽しみにして次回を待ちたいと思います。
同時に凄く不安でもありますけどね(笑)


 放浪息子5話 シーン8


末広安那から見る人の持つ二面性―


最後にちょっとだけ。修一はモデル撮影をする安那を見て
「安那ちゃんが安那ちゃんじゃないみたい」 と言いましたよね。

これはつまり、
誰しもが人の知らないもう一つの顔を持っているということを表現していたのだと思います。

それは真についても同じで、彼も 「にとりんには分からない」 もう一つの顔を持っている。
結局、修一だけが特別なわけではないんですよね。
もちろん “女装したい、女の子になりたい” という趣向はちょっと特別なのかも知れませんけど
それでもそれぞれが抱えている二面性という部分では全く同じで。
それがいけないことだなんて言える資格は誰も持っていないんです。

また安那も修一と同じ、あのストラップを携帯に付けていましたけど
あれも “君の二面性と私の二面性も同じなんだよ”
訴えるためのものだったのではないでしょうか。


その真意の程は彼女だけが知ることなのでしょうけど、でもそう考えていくと
彼女の優しさというものが凄く滲み出ているストラップなんだなぁと思えるところですね。



というわけでこの辺で感想は終りたいと思います。

本当に長くなってしまった上に、想い想いのことを書き綴ったので酷い文章もあったかと想いますが、ここまで読んで下さった皆さん、本当にありがとうございました。


そしてこれだけ素晴らしく心揺さぶるこの作品にも本当に感謝の気持ちで一杯なんですが
それに対しての思いは述べるのは、やっぱり全部終った後にですかね(笑)

とにかく本当に素晴らしい作品であり、素晴らしい回でした。




次回  「文化祭 ~Dream of butterfly~



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Comment

いつもながら自分の書いているブログの内容とは全然次元が違う、深い感想だなぁ、と思って勉強してます。たぶん自分には死ぬまで書けない;;

“劇の主役にはなれても、自分が思い描いた人生という物語の中では主役になれない”

この言葉にシビれました

これはほんとその通りですよね、うまくいかないなら、みんな氏ねばいい。
こう言わせるのもジレンマのせいですかね、

卑屈になるマコちゃんをたしなめる所でも、
この芯の強さがあるだけに余計に不遇さが目立ってしまう気がします。

笑顔見てみたいですね、ほんとに。
コメ失礼しました。

>KAZUさん

おはようございます!!コメントどうもです!

>深い感想だなぁ、と思って勉強してます。
お褒めの言葉ありがとうございます。
いやいやそんな大層なものでは・・・と言いたい所ですが、素直に凄く嬉しいです。

ただそんなこと言わんで下さい!
それぞれのブログにそれぞれの良さがあると思いますし。
とにかくお互い頑張りましょう!

>これはほんとその通りですよね、うまくいかないなら、みんな氏ねばいい。
>こう言わせるのもジレンマのせいですかね、
彼女なりにも凄く不安とか辛さとか焦りとか色々な気持ちが混ざり合ってしまって
だからああやって自暴自棄になってしまうのでしょうね。

本当に仰るとおり、あの強さが逆にその哀愁というものを
漂わせている感じはしますけど、でもさおりんは前を向いていますからね。
だから見ている側もあまり下を向かずに、出来るだけ背中を押してあげる気持ちで
見てあげた方がいいのかなぁなんていう風にも思っております。

もちろん、同情心、と言うよりは、心から応援するみたいな感覚で。
彼女の笑顔が早く見たいですね。本当にそう思います。
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